惚れ直す

惚れ直す




12月22日、クリスマスも近くなったその日は、私の恋人の誕生日だ。
前々から色々と準備を始め、彼の誕生日を聞き出し、そして好きな食べ物も調査済み。

だけれども、ただひとつ分からないものがある。彼が欲しいもの、だ。
バレー一筋で勉強はからっきしで、だけど私には優しい飛雄くんの欲しいもの。

「うーん……」

毎日一緒に帰ったり、勉強をしたり。
そんななかで然り気無く欲しいものを聞いてみたけど、結局解らずじまいだった。

最終的に私が選んだのは、爪のケアを出来るアイテムだ。飛雄くんがいつも爪を大事そうに手入れしているから。

聞いたところ、セッターには爪の手入れは必須なのだとか。

「ミオ」

「……」

「ミオ!」

「あ、はい、なんだっけ?」

学校帰りの道すがら、私は考え事をしてしまい、飛雄くんは私を怪訝な目で見ていた。

今日は飛雄くんの誕生日で、だけど私は、まだプレゼントを渡せていない。
ここにきて迷ってしまったのだ。

爪のケア用品なんて、好みが別れるのではないか。使い慣れたものの方がいいのではないか。

「ミオ? 今日変だぞ」

「あの、あのね、飛雄くん」

鞄を開け、ラッピングされたそれを取り出す。
だけどやっぱりそれを渡すのは躊躇われてしまい、私はその場にうつむいた。

「ミオ?」

「……ごめん、誕生日プレゼント、いいの浮かばなくて」

「くれないの?」

飛雄くんは私を見下ろし、首をかしげる。
心底不思議そうに、私を見ている。

「これ、爪のケア用品で……好みじゃないかもしれないし」

「それは俺が決めることだろ」

そのまま、握りしめていたプレゼントを奪われて、私は飛雄くんをおずおずと見上げる。

「……!」

飛雄くんは私と目が合うなり、はにかむように笑う。
それはもう、本当に嬉しそうに。

「サンキュ。明日から使う」

ああ、反則だ。
飛雄くんのこういう、裏表のない、真っ直ぐで純粋なところが、大好きだ。



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影山くんhappy birthday!


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