本気(「
嫌われてるかと」続き)
本気
ある日曜日の部活の帰り道、飛雄ちゃんの彼女と出くわした。俺は興味半分に話しかける。
「はじめまして、ミオちゃん。飛雄の北一時代の先輩の及川だよ」
「え? あっ、こんにちは。及川くん」
ぺこり、礼儀正しく頭を下げた彼女につられて軽く頭を下げた。
「こんにちは、ミオちゃん」
飛雄の彼女だから、変わった子なのかと思っていたけど、なかなかの常識人だ。
「ねえ、少し話しない?」
「え? あ、うん」
不思議そうにしながらも、ミオちゃんは俺について歩いてきた。
公園のベンチに座り、二人で他愛ない話をする。主に飛雄についてだ。
「飛雄ちゃんのどこがいいのさ?」
「え? うーん。優しいし真面目でまっすぐだし。バレーしてる姿はかっこいい、かな」
ミオちゃんはえへへ、と笑う。なんだかもやっとする。
「ふーん。そういえばミオちゃんって飛雄ちゃんの番号登録してるの?」
「え、うん。そりゃあるよ?」
「へー、見せてよ」
俺はさりげなくミオちゃんに言う。ミオちゃんはなんの疑問もなしに俺にスマホを見せる。
『飛雄くん』と書かれた表示の下に、携帯番号が表示されている。
俺はミオちゃんからスマホを奪うようにとり、飛雄へ電話をかけた。
ミオから電話が来た。
急いで通話ボタンを押してでたが、電話の先にいたのはミオじゃなかった。
『もしもーし、飛雄? 及川さんだけど。今ミオちゃんと公園にいるから、お前も来なよ』
「は? ミオにかわって、て……」
俺の言葉なんて聞いていない。及川さんは用件だけ言うと電話を切った。
鼻唄混じりに飛雄を待つ。からかいがいのある後輩に、何をしてやろう。
「あ、飛雄ちゃん、おそーい」
「及川さん、と。ミオ……」
飛雄は俺とミオちゃんをみて不機嫌な顔をする。
俺はミオちゃんの肩を抱く。
「俺、ミオちゃんが好きになっちゃった」
「及川くん!?」
飛雄をからかったはずなのに、ミオちゃんの方が過剰に反応した。
ミオちゃんは俺の手を退けると、飛雄のところに歩き、飛雄にキスをする。
「ミオ……?」
さすがの飛雄も驚き言葉を失っていた。
ミオちゃんは俺を見て言った。
「私が好きなのは、飛雄くんだから」
ああ、なんだこれ。
気づいたらミオちゃんに夢中になっていた。
本気で好きになるって、こんなに胸が痛いのか。
そんな俺をよそに、ミオちゃんと飛雄は俺の前から歩き出していた。
――――――――
千明さまリクエストです。
影山くんで「
嫌われてるかと」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!
160818