似た者同士

似た者同士



久々に髪結いに行った帰り道、運悪く人にぶつかった。尻餅をつきながらも結ったばかりの髪が崩れないように気を使う。

「あーもう、痛い」

「大丈夫?」

人だかりの中、私が転んだことを気にかける人など居るわけがないと思っていたが、人も捨てたものではないと思った。のもつかの間。

「え、髪の毛が……」

「ああこれ? 雷に打たれてこうなったんだよね」

あはは。空笑いする金色の髪の彼は、私に差し出していた手で私の手を握ると、見た目に似合わず強い力で私を立ち上がらせてくれた。

「ありがとう。優しいんだね」

「優しっ、え? 俺が? まさかそんな、でも嬉しいな」

お礼を言うと彼は照れたように頭を掻く。もじもじと体をくねらせながら。

「私、##NAME2##っていいます」

「俺は善逸。我妻善逸」

「善逸か。いい名前だね」

「ありがとう。君の下の名前は?」

「##NAME1##」

気が合う気が合わないというのは、つまるところ最初に出会った瞬間に分かるものだと思った。彼と私は初めて会ったにも関わらず、既に打ち解けているのだから。

「いい名前だね。##NAME1##ちゃん」

「ありがとう」

「ところで##NAME1##ちゃん、俺、お腹が空いてて」

ここで善逸のお腹が鳴く。なんて間合いのいい。

「私の料理でよければご馳走しようか?」

「いいの?」

「勿論」

そうして私は善逸を家に招くことになった。



それから数日、善逸は私の家に泊まった。私も善逸も毎日色々な話をしていたが、話題が尽きることはなかった。不思議な話だが、やはり初めて会った気がしなかった。

だが、別れは突然訪れた。
村に現れた化物を、善逸があっさりと倒したのだ。

村の人たちはそれを見て、口々にこう言った。

「あいつが化物を連れてきた」

そんなもの言いがかりだ。善逸がいなければ私たちは間違いなく死んでいたというのに、村の被害を全て善逸のせいにして、悲しみを背負わせたのだ。

「##NAME1##ちゃん、ごめんね」

「何で善逸が謝るの」

「だって泣かせちゃったから」

私が泣いているのは善逸がこの村から出ていってしまうからだ。それを止めることも、謝ることも出来ない自分に腹が立って泣いているのだ。私は善逸に付いていくことも許されない。いや、そんな気概がないだけだ。

「##NAME1##ちゃん。俺、また来るね」

「うん」

「だから、今度会うときにまた色々話をしようね」

「……うん」

泣きたいのは善逸の方だというのに、私がぼろぼろと泣きじゃくるから、彼は悲しく笑うのだ。

私と善逸は似ているようで違った。善逸は酷く悲しい笑みをもった、そんな旅人だったのだ。


170609