V
「きゃあ!この子可愛い!!」
女の黄色い声に、はっとしてへいすけに向くと、へいすけの体に女の手が伸びていた。
咄嗟にへいすけを私の体で隠したが間に合わず、目聡い仁王に見つかってしまった。
「ん?なんじゃそいつは」
「なんだガキじゃん」
私の服の袖をクイクイと引っ張るへいすけ。その大きな瞳から涙がにじんで、ウルウルしている。
その瞳で上目遣いで見られたら日には、私の理性なんて跡形もなく消し飛んでしまう。
なんて破壊力なの。一体どこでそんな技を覚えてくるのかしら。
「華蓮ちゃん……」
へいすけが…へいすけが私の名前を不安げに呼んでいる。
「こわいよぅ」
大丈夫よへいすけ!キミのことは私が守る!
へいすけの手を握って、抱き寄せるとへいすけは私の腰に手を回して引っ付いてきた。
お腹に感じるへいすけの体温……うへへ、今なら幸せで死ねる。
「そいつは久久知 兵助。立海初等部4年1組。学年一の秀才且つ優等生で先生方から期待されている将来の有望株だ。補足するなら無類の豆腐好き」
「へぇ、まだ4年なのにスゴイね」
チッ。幸村に興味持たれたら厄介だわ。
「ホントよねぇ。ほらボクおいで。一緒に食べよーよ」
「いやっ!僕は華蓮ちゃんと食べるの!!」
へいすけが怒ってる。ほっぺを膨らませて威嚇してるところも素敵だわ。
ヤバい、鼻血が…。
「涼宮、鼻血出てるぞ。ほらティッシュ」
「あらありがとジャッカル君」
ジャッカル君から貰ったティッシュを鼻に詰めていると、おもむろにへいすけが立ち上がった。
「華蓮ちゃん、もう行こ」
私の手を引いた。その顔は癇癪を起こしたようで、ムッツリと機嫌悪い。
(私のことで何か言われたか)
「へいすけ。ここより良いとこ知ってるからそこで食べましょ」
「うん!!華蓮ちゃん大好き」
「あら私もよ。へいすけ」
今の薔薇の如き笑顔と素晴らしき大好きコールの前にとどめをさされました。
そこで突っ立っている邪魔者たちさえいなければ完璧だったのに。
「ちょっと待てよぃ。お前らどういう関係なんだ」
「華蓮ちゃんは僕のかのじょなの!だからとっちゃダメ!!」
完全に怒ったへいすけはそれだけ言い残して走り去ってしまった。
私はというと、空気と化したテニス部、特にマネージャーに向けて、お前ら私のへいすけにちょっかい出したら地獄見せた後殺す。
とだけ残してへいすけの後を追った。
迷子になってなきゃいいけど。
「華蓮ちゃ〜ん…どこー」
案の定、ウサギ小屋の前で私を探して大泣きしていた。
もちろん可愛いかったから、写メで激写してみました。
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