V
クビになってから1週間がたった。
私は普通の生徒としているわけではない。
あいにくと私のクラスは3年B組で仁王と丸井、そしてこの度テニス部のお姫様になった愛野さんと同じクラス。
よってあの3人のイチャイチャぶりを朝から見る上に、殺気に満ち溢れた教室で過ごす羽目に。
「なあなあ美子。数学の宿題見せろよぃ」
そう言いながら丸井が愛野さんに抱き付く。
「も…もぅぶんちゃんたら、また忘れたの?」
キスでもしそうな2人の距離に、クラス中の殺気に満ちた視線が集まる。
愛野さんには丸井ファンの、丸井には愛野さん信者の殺気。
「み〜こ〜頼むぜぃ」
「んもぅ!今回だけなんだからね!?」
頬っぺたをふくらませてプンプン怒る愛野さんは、女の私でも可愛いと思う。だって私にはとてもじゃないが彼女のように振る舞えない。
気のきいた会話、女の子らしいおしゃれなセンスや仕草。
これが持って生まれた女子力の差、モテ度の違いというやつなのだろう。
羨ましい………とかは思わない。私は好きな人1人にモテたら満足です。
なんか負け犬の言い訳みたい。
何にせよ、私を含めクラス全員、あとたっぷり5分は丸井と愛野のイチャイチャぶりを見たわけだ。
「みーこ!おはようさん」
「あっ、まーくん遅いゾ。遅刻すれすれ!!」
「朝から美子不足……抱かせんしゃい」
ふらっと現れた仁王が愛野さんを後ろから抱きしめた。
愛野さんに仁王ファンの殺気が追加された。
この殺気に気付かないとは愛野さんは相当な鈍感とみた。
「まっまーくん…みんな見てるよ〜恥ずかしいよぅ……」
耳まで真っ赤にして仁王の腕に顔をうずめ、仁王は愛しそうに一層抱きしめた。そしてその脇で丸井が俺も俺もと喚く。
何だろうこの茶番劇は。
興味は無いが見ていてイライラする。
担任の要さんは早く来ないだろうか。
これから毎日繰り返されるであろう彼らの喜劇に欠伸が出る。
ほんと……憂うつ。
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