V
愛美には願望がある。私からすれば野望といってもいいくらいの、はた迷惑なもの。
愛美の野望……それは、忍たまに愛されること。直接聞いたから間違いない。
それは忍術学園の入学前。
「華蓮ちゃん、あたしね…忍たまのみんなに愛されるために生まれてきたの」
「…………は?」
何言ってんだ。
とうとうとち狂ったか。
「あたしはここで逆ハーを築いて、みんなに愛されながら末永くしあわせに暮らすのよ。だから華蓮ちゃんとはここでお別れなの」
“ばいばい”と言い残して愛美は忍術学園の中に消えていった。
勝手に姉妹の縁を切られた私は。
「ぎゃくはーとは何ぞや?」
疑問が頭の中を渦巻いて、小さくなっていく妹の姿をただ見送った。
あれから5年。愛美は毎日、顔も名前も知らない忍たま(先輩後輩問わず)に囲まれて、やりたい放題楽しくやっている。
座学や実技はもちろんのこと、実地訓練はサボるは色関連の授業や忍務は見目の良い殿方とだけ。
忍務はもっぱら私がやってんだぞ!!
やってんの私なのに何故だか愛美がやったことになってるし。
愛美の尻拭いを私は毎日やっているのだ。
まあそんなことは別にいいんだ。問題は忍たま。
1週間前に愛美を取り合って6年の先輩2人が喧嘩した。
最初は些細な口喧嘩から始まったのだが、次第に殴り合いになり、何時しか刀を取っての殺し合いになってしまった。
同じクラスの潮江先輩と立花先輩が、止めに入らなければ本当に2人とも死んでいるところだったそうだ。
こういった忍たま同士の殺し合いは、悲しいことに珍しいことじゃない。
そんなことが5年も続けば先生方も頭がイタいらしく、ある日の夜にとうとう私は学園長先生に呼び出された。
ついでに5人の親友たちも一緒に。
「…もう最悪だ。きっと愛美とまとめて退学なんだ」
「華蓮大丈夫なのだ」
「そうそ、俺たちも呼び出されたんだし」
兵助…ハチ…。
「悪いようにはならないよ」
雷蔵なんていいヤツなんだ。
「たぶんな」
「いや…あるいは……」
三郎と勘ちゃんは私を落ち込ませてどうしたいんだ。
いやいいさ…いいんだ。私だってわかっているさ。縁を切られたとはいえ、素行の悪い妹の不始末を、姉である私に責任取れっていうことでしょ。
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