その4
3
以上です。
「マネージャーが出てこなかったのだ」
「いや兵助、かすりはしたぞ」
勘ちゃんの言うとおり、かすりはした。あのときだけだけどね。もっと言ったら、遊びのことで頭が一杯で宮下マネージャーのことはすっかり忘れてたけど。
「かすっただけなのに…何故私か、さっぱりわかりません」
「じゃ、あれどーすんだ」
はっちゃんの指差す先の、テニス部御一行を盗み見て、うっと言葉を詰まらせる。
「おい。まだかよぃ」
「人を待たせるとは、たるんどる!!」
私が怒られる理由は不明ではあるが、明日には真田くんは血祭りだろう。
それは置いといて、この場は取り敢えず。
「お断りさせて頂きます」
私の返答とともに雷蔵と勘ちゃんは、宮下マネージャーを含むテニス部御一行を、私のお城である調理実習室から放り出した。
「うーん、もう来ないでね」
「次来るときは手土産忘れんなよ〜」
ふたりで矛盾したことを笑顔で言い放つ姿は、実に様になっていたと思う。
「待って芽衣子ちゃん!私と一緒にやろうよ!!」
「愛子先輩もこんなに頼んでんじゃんか!!」
扉の向こう側で何か叫んでいるが、それら全てを全部無視して、私たちは昼食を再開した。
うん!カラッと揚がった唐揚げ。絶妙だね。さすがは私だ。
「ん?そういや芽衣子って結局マネージャー助けたっけ」
「助けてないよ。さなちゃんたちは助けたけどね」
「とんだ自意識過剰なお姫様だよ〜」
…雷蔵様こわいですが。
「…幸村と柳がいなかった」
へいすけのひとことで私たちは固まる。
不安だけが積もっていく。