その3
3
「いやいや。助けたわけじゃないよ」
「わかってるから説明」
私の弁明も黒き雷蔵によりあっさり蹴散らされ、しぶしぶながら回想した。
――*――
あれは確か、ちょうど1週間前。
掃除当番で最後のごみ捨てに、渡り廊下を歩いていたとき。
「これで最後だな」
「そだね。高里くん」
「校舎裏から行ったほうが早いわよ」
みこちゃんの指摘で、今いる渡り廊下から校舎裏を回って行く。
するとその校舎裏に差し掛かったとき。
“早くマネージャー辞めなさいよ!!”
“わたしたちのテニス部から離れてよ”
“仁王くんたちを返して”
とかなんとか、数人の女子の争う声が聞こえてきた。
「……げっ」
「マズいわね」
立ち止まる二人はとてつもなく不愉快そうな顔をしている。何故そんな顔をしているのか、全く理解出来ない。
「ふたりともどうしたの。みこちゃんこっちのほうが早いんでしょ」
「そりゃそうだけど」
「諸泉はいじめ現場に遭遇しても何も思わないのか!?」
「別に。何も。これといって」淡々と返す私に、みこちゃんも高里くんも信じられないとばかりに私を見てくるが、実際の話いじめ問題は、私ごときにはどうすることも出来ないし、本当に何とも思わない。
それ以前に、取り囲んでる女の子3人は私の友達でもある。
「おーい。さなちゃん、みえちゃん、きょーこちん。ちょっと通ってもいいかね?」
「芽衣子じゃーん。おひさー。ぜんぜんいーよ」
そう言って3人は快く通してくれた。
「3人ともほどほどにしときなよ。テニス部が渡り廊下まで来てるよ」
「サンキュー。そだ芽衣子明日ヒマ?」
「あたしら東京まで遊び行くんだ」
「一緒にいかね?」
さなちゃんみえちゃんきょーこちんのお誘いに私は、尻尾を振って。
「いくいく!」
と快諾した。
「そんじゃ駅前10時ね」
“じゃーね”と友達と別れて焼却炉に向かった。
遠くからさなちゃんの“次はないぞ”なんてドスのキいた声が校舎裏にこだました。
――*――*
「ハァ!?諸泉あの過激派3人と知り合い!?」
何だ、私がギャル系と知り合いが悪いか。
「さんにんとは お・と・も・だ・ち です」
「井原、河野、関口は過激派の筆頭。ファンクラブの三幹部よ」
ため息を尽き、何故かみこちゃんたちが複雑そうな顔を向けてくる。
「私の交友関係に何か文句でも」
「いえ…ありません」
私が睨みをきかせているうちに焼却炉に着き、ごみ捨てが完了した。
帰りは当然ながら、ふたりに何を訊かれても、私は無言を貫き通した。