リアル豆まき

「はい皆さん集合!括目せよ!!」

ソファの上に仁王立ちしてそう叫ぶと、なんだなんだと御一行様が集まってくる。
イケメンたちに見上げられて悪い気がしないでもないのは秘密。

「さてここで問題です!今日は何日ですか!はい斎藤さん!!」
「2月3日、だったか」
「はい正解!では2月3日と言えば何の日ですか!はい原田さん!!」
「節分だろ?」
「正解です!!さすが古くから伝わる日本の文化ですね!!これぞジャパニーズカルチャー!!」
「お前なんでそんなにテンション高いんだよ」

歴史の流れと伝統に身体を震わせていると、隣の和樹が呆れたように言った。
でもそんなことは気にしない。
だって今日は年に一度の節分なんだもの。
昔から現代にまで残っている日本の風習であり文化である、節分。
節分がどうやって生まれたかというのははっきり分かってはいないけれど、かなり昔から似たような風習が続いていて、現在に至っているそうな。

「多分皆さんがいた江戸時代では四年に一度だったと思うんですけど、こっちでは毎年2月3日に豆まきをするんです。鬼は外、福は内って」
「おいお前、鬼は外のところでこっち見ただろ。絶対こっち見てただろ」

不知火さんが不満そうに声を上げる。
あれ、さりげなくやったつもりだったんだけどな。

「しかも今年は喜ばしいことに、本物の鬼さんたちがいるじゃないですか!こんなリアリティ溢れる豆まきなんて初めて!なまえわくわくしちゃう!」
「無視かよ、おい」
「ちなみに相手は本物の鬼さんなので全力で豆を投げつけてもいいんじゃないかと思うんですけど、いいですよね?風間さん」

不知火さんの声は聞こえなかったふりをしてその隣のキンキラに声をかける。
すると風間さんは突然立ち上がって笑みを浮かべた。
なんであの人あんなドヤ顔してるんだろう。

「貴様は知らぬようだが、地方によっては福だけでなく鬼も内と唱えることもある。鬼や鬼神を祀る神社、そして地名や姓に鬼という字を持つ者も……」
「残念ながらここは地名に鬼も付きませんし苗字も鬼なんて文字もありませんから問題ないですよね?」

あ、座った。ドヤ顔のまま座った。
なんでドヤ顔のままなんだ。

「それじゃ文句もないようなので、風間さんと不知火さんには今日一日鬼役に回ってもらいます!常に鬼だけど!オールウェイズ鬼だけど!」
「ちょっと待て、天霧もじゃねえのか!こいつも鬼だろ!あ、あと雪村千鶴も!」
「天霧お母さんはだめです、お母さんなので。千鶴ちゃんに豆投げるとかふざけてるんですか?髪の毛引きちぎるぞ長髪ヤンキー」

不知火さんが理不尽!とかなんとか叫んでる。
あの人だいぶキャラ壊れてないだろうか。
でもこのメンバーの中で一番現代に近そうだしまぁいいか。

「では質問等がある人は挙手をお願いします!」

そう言うと、控えめに手を上げる山崎さんの姿が。
ああ、相変わらずかっこいいしかわいいなあ。にやけそう。

「おいなまえ、顔が歪んでるぞ」
「黙れ和樹、これは微笑みと言うんだ。はい山崎さんどうぞ!何なりとどうぞ!はいなんですか!?」

身を乗り出して尋ねると、彼はまわりに視線を巡らせながら戸惑いがちに口を開く。

「ところで、肝心の豆はどこだろうか…?」

豆。

「あれ、和樹君。まさかとは思うけど買ってきてくれてるよね?用意周到な助手の君ならもう既に買っている上で人数分均等に分けてあるよね?」
「はあ!?やってねえよそんなの!」
「なんだよ使えないな!!豆がない豆まきなんてなんなの!?ただのまきだよ!?これだから和樹は……」
「なまえさん、豆ならここに」

そう言いながら落花生の入った大きなスーパーの袋を、どこからか取り出して掲げたのはお母さんこと天霧さん。

「お…お母さん…!!」
「ところであいつさいつからお母さんになったんだよ」