はなしをしよう
屯所までの帰り道を無言で歩く。
土方さんは、私が話してくるまで、何も聞かない気だ。
気になってるはずなのに。
「あの、土方さん」
「なんだ」
「話聞いてもらえますか?」
「ああ」
「ありえない話でも、ちゃんと聞いてくれますか?」
「とりあえず話してみろ。信じるか信じないかは聞いてから決める。」
「わかりました。」
信じてくれるのか不安になりながらも、少しづつ話し始める。
「私、違う世界から、来ました」
「違う世界?」
「はい、ここではない、別の場所です。なんて言えばいいのかよくわからないんですけど…。」
土方さんが不思議そうに私をみる。
そりゃそうだ。
私だってこんな話されたら、信じられない。
というか信じたくない。
「天使って名乗る男の人に、この世界に飛ばされたんです。」
「そんな話があるのか?」
「私だって、よくわかってないんです!それまでの記憶は全くないし。その男が天使なのかどうかも疑ってるし。というか私が1番真実を知りたいんですよ!」
「落ち着け」
「あ、すいません。それで、私は、知りたいことがあるんです。」
「なんだ?」
「私、1度死んでるんです。」
「は?」
歩く足が止まる。
思わず、俯いてしまった。
どんな顔をしてこんな話をすればいいのかよくわからない。
「おい、どうした?」
「来ないでください!!」
近づこうとする土方さんを止める。
「私、自殺してるんですよ!!!」
なんでこんな大声で叫んでるんだろう。
「でも、なんで、自分が自殺したか、わかんないんです!!!」
なんでこんな悲しいんだろう。
「っ、わかんないんですよ!!!」
なんでこんな泣いてるんだろう。
「なんで、どうして、私は、」
今まで、なかったはずの、手首の傷。
「こんなに、死にたいって、思って、」
だめだ。どんどん傷が増えていく。
この手首の傷は、元からあったの?
いつつけたものなの?
「っ、土方さ、ん?」
手首を優しく触る土方さん。
「もう傷つけるな。なんかあったら、俺に言え。辛くなったら、俺にぶつけろ。受け止めてやる。」
「いいんですか?」
「お前を保護したのは俺だからな。」
優しく笑う土方さんに少し安心した。
「お前は、俺のそばにいればいい。」
「ふふ、」
「何笑ってんだよ」
「土方さん、それは好きな人とかに言うセリフですよ?」
はぁ、と大きく溜息を吐く土方さん。
「お前、やっぱり鈍感だろ。」
「え?」
「帰るぞ。」
「あ、はい!」
いつの間にか、涙は止まっていた。
土方さんの言葉に、安心したんだ。
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