いいひと
ボーッと、ただただ歩いてどのくらいたったのだろう。
もう空は暗くなり始めていた。
このまま、私は野宿しなければならないのだろうか。
それは、ほんと勘弁なんだが。
「お姉さん」
「ん?」
声がする方へ、振り向くと、とても美形な外国人みたいな男の人が、にっこりと笑いながら話しかけてきた。
「今から、暇?」
「え?」
「お姉さん可愛いよね。僕、一目惚れしちゃったかも。」
「はい?」
この兄ちゃん眼科行ったほうがいい。
悪い人には見えないし、どこか泊まれる場所でも聞いてみようかな…。
「あの、お兄さん、私、今夜泊まれる場所を探してるんです。どこかいい所、ありませんか?私、この街に初めて来たので、よくわからなくて。」
「そうなの?だったら、僕の家とか来る?」
「え?!い、いや、それは困ります!」
な、なにを急に言ってくるんだ。
今の若い人は、こんな感じなのか?
あ、私も若かった。
「大丈夫だよ、何もしないから」
「いや、そういう問題ではなくて!」
無理矢理腕を掴んできた。
さすがに男の人の力には敵わない。
「ちょっと!やめてください!離してよ!」
嫌がっても、にこにこしながら、無理に引っ張っていく男。
何この人。怖い。
「だ、誰か!助けて、、っ!」
泣きそうになりながら、叫んだ。
もうやだ、怖い。
なんで私がこんな目に合わなきゃならないの。
「おい。」
ぐいっと反対の腕を引っ張られ、ぎゅっと誰かに抱き締められた。
「嫌がってるのわかんねぇのか。」
「あ、す、すいませんでしたぁぁぁぁ!!」
青ざめた顔で去るナンパ男。
抱き締められた相手の顔を見上げる。
「あ!!」
「何泣いてやがる」
「っ、泣いてないです!」
「そうかよ。」
急いで涙を拭いた。
助けてくれた男は、フッと鼻で笑って、私を見た。
「屯所で保護してやる。」
「へ?」
「行く場所ねぇんだろ?」
「そうですけど…」
「ここに、迷子の女を1人置いてくわけにもいかねーしな。」
そう言って、歩き出す男。
「あのっ、名前、聞いてもいいですか?」
「土方。土方十四郎だ。」
「私は、いちごです!よろしくお願いします!」
「ああ、よろしくな。」
この人も、いい人なのかもしれない。
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