へるぷ




そういえば、この街は、「歌舞伎町」だと、山崎さんが話していたなあ。

私が知ってる歌舞伎町とは、少し違う。


「あ、そこの可愛い女子!」


なんかすごい勧誘みたいなのが、多いんだなあ。
危ない人に話しかけられないように、気をつけなければ。


「ちょっと!!聞いてんの?!」

「うわっ!!」


ぐいっと肩を引っ張られ、変な声が出た。


「な、なんなんですか?!いきなり!」

「俺さ、今ものすごく困ってるんだわ。」

「???」

「力を貸してくれねーか?」

「でも…」


銀髪のお兄ちゃん。
相当困っているみたいだ。

顔面は、何故か知らないが傷だらけ。
何があったのか聞くのが怖い。


「頼むよ!!」

「困ってるって…。何に困っているんですか?」

「人手不足なんだ。」

「人手不足?」

「そこのスマイルって店の女の子たちが、みんな風邪で休んじまって。」

「それは大変ですね…」

「そこの女王様が、死ぬ気で女の子集めてこいってうるさくてな。」

「どんなお仕事なんですか?」

「まあ、お客さんと話す程度だ。あと、酒の提供。」


それって…キャバクラ的なやつでは。

でもこれを断ったら、この銀髪のお兄ちゃん殺されてしまうんではないか。

それは、困る。
私のせいで、ってのは困る。

後悔しない選択をしよう。


「少しだけなら。」

「ほんとか?!」

「あ、はい。でも私、接客とかあまり得意ではありませんが…。」

「いいの!いいの!とりあえず人数集めりゃいいんだからさ!よし、早速行こうぜ!」


スマイルというお店に入ると、そこはとてもキラキラした場所だった。

キャバクラって行ったことないけど、こんな感じなんだなあ。
なんか感激。


「あら、銀さん、この子は?」

「さっき、ナンパしてつかまえた」

「来てくれてありがとう。助かります。私は、志村妙。よろしくね。」

「あ、俺も名乗ってなかったわ。坂田銀時でーす。」

「私はいちごって言います!」

「では、いちごさん、早速これに着替えてもらえるかしら?」

「あ、はい。わかりました!」


渡された着物は、ピンクで花柄のとても綺麗なものだった。

なんだか高そう。

汚したら弁償なのかな。
気をつけなきゃ。

髪の毛も巻いてセットしてみた。


「あ、あの、こんな感じで大丈夫なんですか?」


恥ずかしい。なんか恥ずかしい。
普段の私じゃないから、変な感じ。

大丈夫かな、笑われないかな。


「すげー、可愛いじゃん。」

「あら、銀さんを釘付けにしたみたいよ?」

「こりゃ、客付きまくりなんじゃね?」

「わ、私ほんとにそんな会話力とかないし!大丈夫でしょうか…。」

「まあまあ、私がフォローしますから、そんなに不安にならなくても、いいのよ?」

「私もフォローするネ!」

「へ?!」


後ろから、ぎゅっと抱きついてきたのは、チャイナ姿の女の子。

か、可愛い…。


「可愛いアル!」

「あ、ありがとう」

「私は神楽ネ!よろしく!」

「よろしくお願いします」

「んで、こっちのダメガネが新八ネ!新一じゃなくて新八ネ!」

「悪かったね、新一じゃなくて!!!」


神楽ちゃんの後ろにいたメガネの少年は、新八というらしい。


「いちごさん、姉上の店の手伝いをさせてしまってすいません。」

「え、妙さんの弟なんですか?」

「はい、志村新八と言います。」


姉弟かあ。いいなあ。

私の弟も…………………。


「…………。」


え、弟?私の、弟。
私にも、弟がいたような。


「おい、大丈夫か?」

「あ。はい、大丈夫です!」

「疲れたら言えよ。」


銀時さんにポンポンと頭を撫でられた。


「では、いちごさん、頑張りましょうね!」

「はい!頑張ってみます!」


はじめてのキャバ嬢。





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