うれしいきもち
なんとか仕事が終わった。
お客様と話すだけでも疲れるものなんだな。
ほとんど、妙さんがフォローしてくれてたけど。
「お疲れさん」
「あ、ありがとうございます」
銀時さんが、コーヒーを買ってきてくれた。
一口飲んだだけでも疲れが一気に引いてく気がする。
「声掛けてくれて、ありがとうございました。」
「え?なんで?」
「だって、こんな経験したことなかったし、疲れたけど、楽しかったです。」
「そうか。」
フッと鼻で笑う銀時さん。
なんだか本当にお兄ちゃんって感じだなー。
「え!もうこんな時間?!」
深夜0時をまわっていた。
帰らないと。
まあ、誰も心配はしてないだろうけど、鍵閉められてたら困るし。
そもそも鍵があるのかも知らないけど。
ほんと、鍵閉められてたらどうしよう。
「送ってく。」
「え、いいですよ!悪いです!」
「アホか。女1人こんな夜中に歩いてたら、変なやつに誘拐されちまうぞ。」
「じゃあ、お願いします。」
「おう。」
妙さんが、「その着物、あげる。今日手伝ってくれたお礼に。」と言ってくれた。
着替えるのめんどうだから、そのまま。
屯所についたら、みんなに「似合わない」って笑われるかな。それは傷つく。
「銀時さん、」
「銀さんでいい。みんなそう呼んでるしな。」
「銀さん。銀さんは、何をしてる方なんですか?」
「万事屋。神楽と新八と3人でやってる。」
「よろ、づや?」
「まあ、何でも屋ってこと。どんな依頼でも報酬あればやる。」
「なるほど。じゃあもし、困ったことあったら、銀さんたちにお願いしますね!」
「任せろ。ただし、報酬次第だがなー。」
「安くしてくださいよー!」
そんな話をしながら、歩いていたら、屯所前についた。
あ、土方さんが、仁王立ちで立ってる。
「お前、ここに住んでんの?!」
「はい!土方さんが保護してくれたんですよ!」
「おい、なんでここに万事屋がいる。」
「送ってくれたんです!」
「やぁやぁ、多串くん。まさか、真選組に女を置いてるなんてなあ。」
「こいつは、記憶喪失の迷子なんだ。だから保護してる。」
「ふーん。でもそんな面倒なことするなんてな。」
なんだか、すごいピリピリしてる。
もしかして、この2人仲悪いのかな。
土方さんの眉間のシワがやばいんだけど。
「いちごちゃーん。もし良かったら、万事屋来ない?」
「え?」
「真選組忙しそうだし?俺のとこなら、神楽いるし、安心だろ?記憶探す手伝いも出来るし。報酬は、毎日飯つくってくれれば、いらねーよ?」
確かに。土方さんいつも忙しそう。
忙しいのに、そばに私がいたら、邪魔でしかないもん。
やっぱり、邪魔なのかな。
「悪いが、万事屋。こいつを保護したのは、俺だ。渡す気はねぇ。帰れ。」
「土方さん……」
「はいはい、帰りますよー。だけど、いちごちゃん、俺諦めねぇから。今度、万事屋遊びに来いよ。神楽も喜ぶだろうから。」
「はい!」
銀さんは、何を諦めないって言ったんだろ。
「おい、」
「は、はい!」
銀さんが去ったあと、土方さんと2人きりになった。
なんだか気まづい。
「あの、土方さん?なんですか?」
「屯所から出るな、とは言わねー。だけどな、」
「うわっ、」
くしゃくしゃと頭を撫でられて驚いた。
「あんまり心配かけんな。」
そう言って、土方さんは私を置いて、屯所の中へ入っていってしまった。
「っ、心配してくれたんだ。」
心配かけてしまったのは、反省しなければならないのに、私はなぜか、少しだけ嬉しかった。
「この着物にはノーコメントなのね。」
やっぱり、変だったのかな。
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