西園寺が学校を休んでカノンと遊んでいる日、並盛高校の空き教室に五人の少年と一人の赤ん坊が集まっていた。
「リボーンさん、急に俺たちを集めてどうしたんスか?」
「そうだぜ、小僧。もしかして緊急事態か?」
リボーンと呼ばれた赤ん坊に問いかけたのは、かつて綱吉の友だちだった獄寺と山本だ。二人の問いにリボーンは首を振って否定し、一枚の紙を机の上に置いた。
近くにいた晴の守護者であり、京子の兄である笹川了平が手に取ったが、内容はすべてイタリア語で記載されていた。
「うむ、極限に意味がわからんぞ!」
「将来イタリアで過ごすのですから、少しは勉強したらいかがです?」
紙を机に戻す笹川を骸は鼻で笑い、そんな彼を恭弥が笑う。ボンゴレ次期十代目の面々にはなして未来があるのか、と。
やれやれと首を振った骸がかわりに内容を読みあげた。
「…………」
骸が読み終えると、ただでさえ静かだった空き教室内がさらに静かになったような気がした。
「ど、どういうことっスか、くるみがボンゴレの血を引いてるって!? そんな話一度も聞いたこと……!」
「まあまあ落ちつけよ、獄寺」
「るせぇ、落ちついてられっか! テメェは黙ってろ!」
興奮状態の獄寺をなだめようと山本が軽やかに笑うも、あっさり一蹴されてしまった。ダイナマイトを出さんばかりの獄寺を、すかさず恭弥が睨みつける。
「こんなことを知らせるためにわざわざ僕を呼び出したわけではありませんよね?」
「当然だ。薄いと言ってもくるみに血が流れてるとわかった以上、このままにはしておけねえ。あのダメツナを除籍する話が
「!」
「すべてが決まるまで伏せておく。が、どこからこの情報が漏れるかわからねぇからな、オメーたちにはくるみの護衛をしてもらうぞ」
リボーンから告げられた衝撃の事実に戸惑いを隠せずにいる獄寺と山本、笹川とは対照的に骸と恭弥は変わらず我関せずの態度で早々に教室から出て行ってしまった。
「待てコラ! まだリボーンさんの話は終わってねぇだろうが!!」
教室から獄寺が何やら騒いでいる声が聞こえるが、そんなこと二人にはどうでもいいことだった。とにかく今はどこか人気のない場所へ移動したい。否、しなくてはならない。
*****
教室を出て人気の少ない廊下に到着したところで二人は膝から崩れ落ちた。
「……はぁ……」
「………」
骸は深く息を吐き、恭弥は何も言わず壁にもたれる。
強くなりたいならと、骸と恭弥は外でも錘をつけることとなった。寝るとき以外錘をつけているとはいえ、たった一日で慣れる重さではない。さすがの二人も限界を迎えつつあった。
「リボーンはなんて?」
「沢田綱吉の除籍を検討中ということ、あの女にボンゴレの血が流れていると」
「……カノンさんの言ったとおりになったってことか」
奥から姿を現したのは綱吉と京子だった。
京子は事情を深く知っているわけではないが、一人にしたら何をされるかわからないため綱吉と行動をともにしている。
「計画を進めるためにはあの女を煽らなくてなりませんね」
「それはあの人が決めることであって君が決めることじゃない」
「君に言われるまでもない。ただ『ああ』するには煽るほかないでしょう」
骸のそれはあくまで建前で、本音は別にあった。おそらくそれは骸以外も思っていることだろうからあえて口には出さないけれど。
バチバチと火花を散らせて睨み合う骸と恭弥。つい最近知り合ったばかりの恭弥がろくに知りもしない男によく懐いたと綱吉は内心で苦笑する。
次の授業の予鈴が鳴り、疲れきった身体に鞭打って立ちあがった恭弥は応接室へ戻り、骸は並盛高校をあとにした。