新しいマニキュアを三つ買った。その内二つは選んでもらった。
選んでくれた色は、どれもパーソナルカラーにどんぴしゃで、信者と言っても過言でないくらいに気にしている私は、言わなかったけど嬉しかった。
悠くんはちゃんと私に似合う色を選択してくれたってこと。
ちなみにパーソナルカラーを気にしているのは、合わない色という選択肢がなくなるために迷うことが減るからだ。
一緒に家に帰って、夕飯を済ませたりシャワーを浴びたり、一息吐いてからそれらを取り出す。
眺めながらいま足の爪に塗ってあるものを落として、ベースコートを塗りながらどれにするか考える。幸せだ。
ピンク、ブルー、グリーン。
「悠くーん、ねー、どれが良いかな?」
悠くんはテーブルの上に並べたそれらと私をチラ見。
返事を期待していないから、それぞれを明かりに透かして眺め、ニヤニヤが止まらない。
上ばかり向いていたらソファに衝撃を感じて、顔を向けるとゲーム機を置いてソファに乗ってきた悠くんの姿。
「これ」
そう言いながら、ピンクのマニキュアを取った。
並んで座った彼は私の片足を掴んで目の前に持って行き、私は慌ててもう片足を寄せて揃えて足を閉じる。
悠くんは自分の足に私の足を乗せて、マニキュアの蓋を回した。
「塗ってくれるの?」
「じっとしていてください」
目を伏せながら、彼の大きな手が不釣り合いに可愛く華奢なマニキュアを持って、ちまちまと私の爪を彩っていく。
女王様になったような気分で眺める、私の足を支える指先は扇情的でもある。
乾いていて、直線的で、節の目立つその手が恭しく私の足に触れている。壊れ物のように丁寧にしっかりと。
「なんだか女王様みたい」
「…私はお姫様だと思いましたよ」
「じゃあ悠くんは執事?騎士?」
「どちらでも構いませんけど」
おかしくなって少し笑えば、悠くんも口の端を持ち上げた。
執事だな、と思って燕尾服姿を想像した。普段のスーツと何ら変わらなかったけれど。
「悠くん、かなり似合うと思う」
「…スーツの方が見慣れてるからでは?」
「そうかも。ねー、お姫様って呼んでみて!」
「はい、なまえお姫様」
悠くんははっきりと私をそう呼んで、顔を上げた。
ドキっとして、その目を見つめる。
「乾いたら、もう一度塗りましょう」
そう言いながら、十本塗り終えた悠くんは足の甲に口付ける。
マニキュアを塗ったばかりの爪が当たらないように、ふくらはぎを支えて足を開かせながら、悠くんの唇は私の足を上がっていく。
爪が、と思うと抵抗もできなくて手を彼の額に当てて制する。
「ちょっと、悠くん」
「はい、なまえお姫様」
「やだ、何して、」
「乾くまで、お暇でしょう?」
別に、続けなくて良いのに。と思ったけれど、悠くんがお姫様ごっこをやめる気配はない。
部屋着のワンピースが災いして、悠くんは私の足を自らの肩に載せて、太ももを上がってくる。内ももを舐めたり軽く食んだりしながら。
頭を押さえるも、その手に掴まれて止められず、足の支えがなくなると、爪を気にして肩から足が動かせない。
図ったな、と思うも後の祭り。
太ももの付け根に跡を付けた悠くんは人差し指で下着をずらして、小さくひと舐め。
「ひゃっ」
「…濡れてますけど」
「い、わないで、っ」
髪の先が、ちくちく太ももに当たる。それすら下腹への刺激になる。
舌が、的確に剥いた先の芽を摘む。
部屋の明かりはついたままで、視界には足の間に顔を埋める悠くん。
恥ずかしすぎて、でも気持ち良くて、目を閉じてその感触に耐える。
けれど悠くんは、奉仕精神が強いのか何なのかよく分からないが、とにかく舐めたり指を入れたりに時間をかける傾向があるから、困る。
掴まれた手を恋人繋ぎに直されて、そういうスイッチが入った気がした。
小さな水音がする。のぼせた私の息遣いが聞こえる。
びちゃびちゃになっているのが、自分で分かる。恥ずかしいけれど、それより気持ち良さが上回ってるから仕方ない。
芽を吸い出し、狙って舐められる。ビリビリする気持ち良さが、段々頭を悪くさせている。
「ぁ、ぁ…ぁあ、」
「なまえお姫様、お加減は如何でしょうか」
「も、っと…ゆ、くん、もっと舐めて、」
最後の羞恥に目を閉じて強請れば、吸われた芽に歯を立てられて、飲み込めずに声が出る。気を良くしたのか、片手を解かれて、指が一本進入してきた。
ぶわ、と頭が揺れる。
しばらく舐められてから指を入れられると、なぜか芽の方まで蕩けそうなくらいに気持ち良さが増して、今日も自然と腰が浮いたり揺れたり。
的確に動く指と、舌と、よく分かっている彼にただ翻弄されるだけ。
「ゆ、悠くん、まって、あっ、ま、」
「待ちません」
足が勝手に開き始めて、息が荒くなって、そこが近いのを自覚する。
我慢できない腰がずるずる動き始めて、イきたくてイきたくて仕方ない。
当然察知した悠くんは、指の抜き挿しを速め、舌が私を追い詰めるように細かく動く。
「あっ、あっ、あァ、ーーーっ」
襲い来る波に体を固くして耐えて、そして通り過ぎた脱力感に、肩からずり落ちた足を、悠くんの手が確かに掴んで、私はソファに深く深く体を沈める。
怠いような重いような体を持て余しながら、ゆっくり目を開ける。
「なまえお姫様、乾いたようですよ」
悠くんはそう言って、テーブルの上のマニキュアを取る。
そんなこともうどうでも良い私は、何も言えずにただその動きを見つめた。
投げ出された足を取って、またピンクを重ねていく。
「なまえお姫様、これが乾くまでは何をしましょう」
何となくその先を想像しながら、その伏せた鼻筋を眺める。かっこいい。
「なまえお姫様、まだご満足なさっていないでしょう」
明かりを受けた爪を確認するように動かしながら、何でもないように悠くんは続ける。
「次はベッドで致しましょうね。なまえお姫様は動いてはいけませんよ」
折角塗ったんですから、の声が楽しそうで、私は目を閉じた。
つまり、次はセックスだ。
その快感を思い出しながら、背中を支える手に従う。早くシたくて、首に腕を回せば、キスがひとつ。
タイトルはなんか語感と雰囲気
← →