カイルと異国旅行

「ーーはあ?アネストン王国に旅行?」

 カイルはネクタイを解きながら頷いた。
 いきなり誘われた俺はいかないと即答した。だって、俺には仕事があるしなんのために異国旅行なんかしないといけないんだ?

「新しい宝石はここよりアネストン王国のが売れる」
「それになんで俺がついていかなくちゃいけないんだ?関係ないだろう」

 言い忘れていたがカイルは宝石商で、貴族や王族に宝石を売りさばいているんだ。宝石の価値は国によって変わるらしく、今回手に入った宝石はアネストン王国ではかなりの高値で売れるそうだ。

「アネストン王国はここより農業が進んでる…特に小麦の品質の良さは有名だ」
「…小麦?」
「お前はここのパンに文句垂れてただろうが。向こうの小麦粉で作ったパンは何か変わるんじゃねえの?」

 ここの国、ダバルドン王国の小麦は大量生産ができるが品質は最悪で、パンはパサパサで食えたものじゃない。アネストン王国の小麦は全く輸入されていなくて、市場で出回ってるのはダバルドンの小麦だ。
 よく文句を言っていたのをカイルは聞いていたらしい。

「行き、たいけど…俺そんな金持ってない」
「俺が旅費の半分出してやる」
「半分って…何泊するつもりなんだ?」
「2週間だ」

 俺は勢いよく首を横に振った。異国に旅行する際にかかる、申請代、食費、宿代…軽く計算してもかなりの額になる。しかも2週間…無理だ、半分出してもらうのが申し訳ないレベル。
 頑なに拒否する俺に、カイルはウンザリした顔をした。

「ハジメ、俺がいくら稼いでると思ってんだ?テメェの旅費くらい軽く出せるんだよ、馬鹿が」
「……この家見てる限り、あんまり稼いでるとは思えない」
「アァ!?俺はこの家が気に入ってんだよ、ブチ犯すぞ!」
「………」

 怒鳴り声を聞きながら俺は俯いた。
 自分の日に焼けてない、生白い脚を見つめながら考える。
 正直、美味しいパンが食べたい…米生活も好きだけど、現代人の俺にはパンも必要だ。アネストン王国は野菜も美味しいと有名だしかなり行きたい…。
 ウジウジしていると、いきなりベッドに押し倒された。顔を見上げれば、カイルは苛立ちに顔を歪ませていた。


「ウゼェやつだな、お前は…とにかく一発ヤッてから考えろ」
「…何がとにかくなんだ」
「うるせぇな、こっちは金払ってんだよ。黙って脚開いてろ」


 俺は溜息を吐いて、言われた通り脚を開いた。


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