異国旅行3日目(2)
出店の男の言う通りの道で歩いていくと、輝く緑が辺り一面に広がっていて思わず感嘆の声を上げた。
農園の入り口にはシャムスの畑とだけ書かれていた。
広すぎる畑を見回しても人の気配が全くない。
仕様がないから勝手に敷地内に入ることにした。畑内を歩いていけば赤いトマトがなってるところがあったり、それ以外にナスやらキュウリもなっていた。暑い気候だから夏野菜がよく育っているみたいだ。
暫くして作業をしている背の高い男を見つけた。
農園主だと判断して、男に近づく。
「あの…」
「…ん、なんだ?」
「勝手にお邪魔してます、観光で…」
「観光…あぁ、あのバカに勧められてきたのか?」
バカとはあの店主のことだろうか、戸惑いながら頷けば男は溜息をついた。
首にかけた手ぬぐいで汗を拭き、男は俺に向き直る。
「勧めらたところ悪いがここには畑しかないからな、面白くないだろ」
「畑を見にきたんで、野菜見てるだけでも面白いです」
「……あんた変わってるな」
そう言って、驚いた顔をする男は褐色の肌に濃いめの顔をしたイケメンだった。畑仕事をしているからかシャツの上からでも筋肉がわかる。
「ここのトマトが美味しくて驚きました…そのままでも美味しいし、いろいろ調理してももっと美味しくなるはず…それに、甘いからスイーツとかにも…」
「………」
「あ…すいません、熱くなってしまって」
「……プッ、アハハハッ!」
いきなり笑い出した男にキョトンとしてしまう。
「あ、あんた料理人かなんかか?」
「違います、けど…」
「違うのにすごい情熱だな、面白いよあんた」
「は、はあ…」
何が面白いのか全く理解できないが、とりあえず男の笑顔がとてつもなく眩しかった。
「分かってるとは思うが俺の名前はシャムス、あんたは?」
「ハジメです、よろしく」
握手を求められ、手を握り返す。
意外と分厚くて硬い掌に畑仕事をする人の違いを感じた。
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