異国旅行5日目(2)
「ごめん、シャムス…邪魔したか?」
「いや…」
シャムスも居心地が悪そうな顔をしている。出直してまた明日来ようか、なんて思っていたら男達の片方が声をかけてきた。
「貴方がハジメ、さんですか?」
「はぁ…そうですけど」
「いつも殿下がお世話になっております」
そう言ってペコリと頭を下げられ、俺はピシリと固まった。…今、すごい言葉が聞こえたような。
戸惑っていると、男は驚いたような顔をした。
「もしかして、アネストンの王子だと知りませんでしたか?」
「は、はい…」
「はぁ…殿下、市民の方に黙っておられるのはどうかと思いますが」
まさか、シャムスが殿下…王子だなんて。
唖然としていると、シャムスは不機嫌丸出しの顔になった。
「俺は王子のつもりはない。王位継承権も捨てた筈だ」
「だからと言っても、貴方は陛下の御子なのです。もう次期、王太子様が王位につかれます。そうなればシャムス殿下も…」
「だから、俺は政治に関わるつもりはない。兄上達にもそう言っておいてくれ」
「殿下…」
内容か凄すぎてもう頭の整理が追いつかない。だが、この3人の空気は険悪になっている。そんな気まずい空間をぶち壊すような明るい声が聞こえた。
「殿下はまた我儘を…って、あれ?ハジメ君」
「え、ハヌルさん?!」
声の主はあの冷やしトマト屋の店主、ハヌルさんだった。ハヌルさんらいつもの平民の服装じゃなくて、軍服を着ていた。
驚いていると、ハヌルさんは説明してくれた。
「騙していたみたいで申し訳ない。俺はハヌル・マクレーン、王宮で武官をしているんだ」
「武官…」
「殿下の趣味に俺も付き合っていたから、あの姿でいたんだ」
ハヌルさんはどうやら、シャムスの部下だったらしい。
「…ハヌル、こいつらを連れて帰ってくれ。何度来られても俺の意思は変わらない」
「わかりましたよ、殿下。ほらお前らも帰るぞ」
ハジメ君もまた今度、そう笑いかけてハヌルさんは従者2人を連れて帰って行った。
なんとなく、シャムスと見つめ合う。
「とりあえず…中で話そう」
「あぁ」
まだ状況が整理しきれないまま、小屋に入った。
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