異国旅行6日目

「ーー法改正?」
「ああ、どうやら王位継承に伴って法律を変えるらしい」
「なるほどな…」

 ウィップさんの言葉を聞いて、俺はめんどくせえなと呟いた。この国もそろそろ薬物に対して厳しくしていくそうだ。それを決めるきっかけを作ったのは俺の国の神子らしい。余計なことをする迷惑な神子だ。

「もうここではあまり商売はできないな。また違う取引先を探しておこう」
「…はい、お願いします」
「もう全てある分のブルームーンは売ったから問題ないが、カイルはこの後どうする?まだ滞在するのか」

 ウィップさんの言葉を聞いて、ふとハジメを思い出した。あいつはこの国を気に入っているから、予定通りいたほうが喜ぶだろう。だが、この国が法改正するのならすぐにでもここを立ち去りたい。

「いや、明日にでも帰りますよ。目をつけられたくはないんで」
「…そうだな、いい判断だ。関所も少し厳しくなっていると思うから、気をつけておけ」
「わかりました」

 宿の近くで馬車を降り、ウィップさんに別れを告げた。もう次の仕事まで会うことはないだろう。


 *

 カイルは宿に帰ってくるなり、もうダバルドンに帰ると言ってきた。

「いきなりだな、2週間の予定だったんじゃ…」
「仕事の事情でな…できれば早くこの国を出たい」

 何かあったのだろうか、珍しく真面目な顔をしているカイルにそう思った。仕事に対して口を出す気は無いから何も言わないが。

「明日帰るからな」
「はあ?!明日?!」
「うるせえな、つべこべ言わずに帰り支度しとけ」

 明日だなんて急すぎる…俺は唖然とした。文句を言いたいが、旅費を出してもらっている身としては文句なんて言えない。
 ふて腐れながらも帰り支度をすることにした。明日、シャムスに別れの挨拶をしにいこう。


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