太客カイルの嫉妬(2)

意識が覚醒した俺は、ベタ付いた身体を洗いにシャワーを浴びに行った。フラつきながらバスルームに着けば、鏡の中の自分に目がいった。首に指の痣ができていて、思わず顔を歪める。

あの後意識を失って、目が覚めたら犯されていて、また失神して…を何度か繰り返していた。ゴムを使われていなかったのか、ナカが気持ち悪い。身体中精液の臭いがした。

シャワーを浴びながら、悲しくて涙が出た。カイルは最初からあんな男だった。わかっていた、わかっていたのに…俺は客の中、この世界でカイルを1番信用していた。ドン底に落としたのもカイルで、そこから救ったのもカイル。
信用なんかしないほうがいいな、そう思いながら身体を洗い流した。汚れと一緒に涙も流した。


部屋に戻れば、カイルは煙草を吸っていた。こっちを見たカイルと目があったが、お互い何も言わなかった。
俺は服を着て、荷物の中からカイルからもらった1週間分の金を机に置いた。

「…なんだよ」
「残りの料金は返す」
「おい…」
「もう、ここにはこない。お前の相手はしない」

荷物を持って俺はカイルに背を向けた。だが腕をグッと掴まれて、無理やりカイルと向き合わされた。

「お前、本気で言ってんのかよ」
「本気も何も、あんな滅茶苦茶されて抱かれに来るやつはいないだろう」
「…そ、れは…お前があの男に入れ込むから」

カイルの言葉に俺は目を見開いた。
ーーああ、そういうことか…ふざけるなよ。俺は昨日の怒りがぶり返してくるのがわかった。

「なに、シャムスに嫉妬したのか?」
「……」
「言っとくけど、俺とカイルは男娼とただの客でそれ以下でもそれ以上でもないんだ。それなのにシャムスに嫉妬するなんて、お前は俺の恋人にでもなったつもりなのか?」
「…っ」

俺はぎゅっと拳を握りしめた。

「あんなことされて、気を許して少しでも信用してた俺が馬鹿だった。お前はどうしようもないクズだって思い出したよ」
「ハジメ…」
「そんな奴にもう抱かれるのはごめんだ。もう二度と俺に連絡しないでくれ」
「待てよ、なぁ…」

引き止める腕を振り切って、俺はカイルの家を出た。アパートを振り返りもせず、俺は帰路を急いだ。


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