男娼に転職と再会

 狭いワンルームの部屋を借りてさあ、働くぞ!と息巻いて街に出たがどうやら身分証がいるらしい。
 トリップした俺には当然そんなものはなくて、途方に暮れた。家賃も払えなくなるし、食費もなくなる。
 追い詰められた俺が行き着いた職は、男相手に春を売る…所謂、男娼だった。カイルのせいで男同士のセックスにはだいぶ抵抗はなくなっているし、何より男娼は店なんかで働かなくてもできる、個人で勝手にやっていけるのだ。

 俺はカイルに気に入られたし、まあ大丈夫だろ…なんて男娼を舐めていたが現実は厳しかった。
 それもそのはず、俺は平凡な顔でこの世界の男より幾分か小柄なだけ。性技はあるけど、リピートで買ってくれるほどいいわけじゃない。

 ーーやばい、やばいぞ!俺!
 またまた追い詰められた俺は考えて考えて、ある方法を思いついたーー家政婦もしよう、と。

 どうやらこの世界では俺の料理は美味しいらしいし、掃除洗濯もできる。男娼として買ってくれた客の胃袋を掴んで、また買ってもらえるように…そう考えた。セックスプラスαでかなり疲れるが、料理ができるからまだ大丈夫だった。

 客も戸惑う奴が多かったが、セックスしたあとに料理を出せば美味しい美味しいと、みんな喜んでくれた。はっきり言って俺の作戦は成功だった。
 客はいつしか2、3日買ってくれるようになった。今まで客には商人がほとんどだったが、いつしか貴族の客もつくようになった。

 *

 仕事のないオフの日、俺は街をブラブラ歩いていた。
 前の世界では肌なんか気にしてなかったが、顔以外で勝負しないといけない俺は肌に気をつけるようにしていた。だから、いい入浴剤と石鹸を探しに来ていたのだ。

 賑わう人混みを歩いていたら、いきなりグイッと腕を引っ張られた。

「よぉ…久しぶりじゃねぇか」

 振り返れば、そこには鬼のような顔をしたカイルがいた。


 *


「ーーじゃあ何だ、てめえ今男娼してんのか?」
「そうだ、身分証ないから仕方ないだろ」
「家に帰ってねぇのかよ、バカだな」

 懐かしいアパートに連れ去られ、あっと言う間に犯され、そこから今まで何してたのかを詰問されて全て話した。そう言えば俺は家出した貴族なんだと、俺は苦笑を浮かべた。

「で、幾らでやってんだ?」
「一晩、200デーロ…えと、1日は500デーロでしてる」
「…安すぎだぞ、そりゃあ」

 この世界では1デーロが100円、10デーロが1000円、100デーロが1万円くらいだ。
 だから俺は一晩は2万、1日は5万でしていたが安いらしい。

「俺の見た目に見合った金額だろ」
「ヤるだけだったらの話だ!ハジメは客に手料理食わせてんだろうが、もっと取るべきなんだよ」
「…じゃあ、一晩500デーロ、1日は1,000デーロにする」
「そうしろ」

 カイルはベッドから裸のまま立ち上がり、何かを取りに行った。俺は少しだけ息を吐いて、ベッドに深く体を沈めた。自分の家のベッドはこんなフカフカではないから、少し羨ましく思った。

 暫くして、うとうとしてる俺の前にバサリと大量の札束が置かれた。
 目を白黒してると、カイルが俺の顔を掴んだ。


「今日から1週間お前を買うから、前払いで渡しとくぜ」
「1週間、って…長くないか?」
「客に文句つける気か、あぁ?!こっちは金払うんだから言うこときけや」

 呆れながらも俺は頷いた。
 その後、疲れすぎてもう二度と1週間も同じ客を取らないと決めた。


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