似てない2人

 
 疲労ゲージが真っ赤だった俺はなんとか立て直し、ザブールとラグナルからお金をたんまり徴収させてもらった。ザブールよりラグナルのほうが儲けているようだ。

「あー…肉食いてェ、ハジメなんか作ってくれや」
「はいはい、肉だろ。ラグナルも肉でいいか?」
「いいや、いらねぇ」

 そう言って酒を飲むラグナルにキョトンとしてしまう。思わずザブールを見ると、ザブールはデカイあくびをしながらも説明してくれた。

「こいつは俺より若いくせにあっさりした食いもんが好きなんだよ」
「うるせェな、ヤった後に肉なんか食えるわけねェだろうが」

 ザブールは生意気な口聞くなと、ラグナルを小突いた。食の趣味は似てないんだな、俺はそう思いながら頭の中で献立を考える。

 *

 ザブール用に安売りされていたデカイ赤身肉、そしてこれまた安売りされていたきのこ類や鶏肉、野菜等を市場で購入した。なぜか兄弟が市場についてきたから、お金を全て払わせて大量の食材の荷物持ちをさせた。
 デカイ兄弟のせいで周りからかなり視線を集めていた。

 ちょっかいをかけてくるラグナルを無視して俺はキッチンにこもる。キッチンを見回して息を吐く。ザブールの家のキッチンは俺しか使わないからめちゃくちゃ綺麗だ。

 手際よく肉を捌いて焼き、ザブールが好きなニンニクが効いた甘辛いソースを作る。その後、ラグナルと俺用のきのこと鶏肉のおじや作りに取り掛かる。
 今日はあっさりした優しい食べ物を体が欲していた。セックスに疲れたからということもあるが、28を超えてからますます和食を好んでいる自分がいる。歳だと感じるが仕方ない。
 少し硬めに米を炊き、炊けた米、鶏肉、野菜を鍋に入れた。水も少量入れ煮込めば勝手に鶏肉と野菜の出汁が出る。途中できのこを投入する。椎茸っぽいきのこが旨味をだす…筈だ。
 いい感じに煮込めたら、溶き卵を入れて最後に塩胡椒をして完成。

 *

「ーーうめェ、やっぱ肉だ肉!」
「へー、こんな食いもんがあるんだなァ」

 ザブールは巨大なステーキにかぶりつき、異常なスピードで食べていく。ラグナルは早食いではないのか、あつあつのおじやを冷ましながらちびちび食べていた。不味くはないらしい様子にホッとした。
 俺もおじやを一口食べてみる。あつすぎて軽く火傷したが、鶏肉の出汁の効いたおじやはたまらなく美味い。薄味に感じる人もいるかもしれないが、素材の出汁と味が堪能できるからこれでいい。
 あったまるなぁと、そう思いながら食べていると、ラグナルは食べ終わったらしい。ちなみにザブールはとっくの昔に食べ終えていた。

「おかわりいるか?」
「いーや、俺はもういらね」
「そう…あまり美味くなかったか?」

 それは傷つくな、と思っていたがラグナルは首を横に振った。

「美味かったぜェ」
「ラグナルは小食なんだよ」

 またウィスキーを飲みながら、ザブールはそう言った。どうやら食べる量も似てない兄弟みたいだ。

「ハジメちゃん、俺サマの嫁になるかァ?」
「…いや、なんでそうなるんだ」
「体もいいし、料理もうめぇからよ。最高じゃねェか」

 あほらしいことを言うラグナルにうんざりしてしまう。

「おいおい…やめろよ、ラグナル!俺がハジメとヤれなくなるだろォが」
「バーカ、俺がそんなケチなことするわけねェだろ。兄貴もハジメちゃんを抱けばいい」

 いいなそれェ!と言いながら下品に笑い合うバカ兄弟を尻目に、俺はおじやを器によそった。やっぱり兄弟だなこいつら。


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