平和なひととき(2)

 

「一緒に入るのか?」

 カイルが今日家に泊まることになり、風呂に入る前に一緒に入ろうと言ってきた。泊まることは構わないが、何故一緒に風呂に入らないといけないんだ。過去にめちゃくちゃにされた記憶が蘇り、俺は顔を歪める。


「久しぶりにいいだろうが」

「………」

「別に手はださねぇよ」


 浣腸されたこともあり、かなり不安だ。それでも最近のカイルの行いからその言葉を信じることにした。
 脱衣所で服を脱いだカイルの体は、弱っていたときの体ではなく元の筋肉質な体に戻っていた。元の世界ではゴリマッチョという部類に入る体も、この世界では細マッチョぐらいなのだ。男としては羨ましくなるな、とボーっと眺めているとカイルは俺の服を強引に脱がせた。


「何ボーっとしてんだ、早く脱げ」

「…わかったよ、自分で脱げるから」


 貧相な自分の体を見て恥ずかしくなるが、これは前から変わらないし今更気にする必要もない。
 俺のアパートはこの世界では珍しく浴槽があり、お風呂に浸かれるのだ。今日は久しぶりにお湯を湧かして入ることにした。
 カイルの胸に背中を預けるような形でお湯に浸かる。 


「…狭すぎんだろ」

「お前がデカすぎるんだ、文句言うな」


 ぶつくさ文句を言うカイルの顔にお湯をかけてやる。ムッとした顔を一瞬したが、怒る代わりにキツく抱きしめられた。カイルの肌の温もりとお湯で冷えた体がじんわり温まってくる。
 ホッと息を吐いて、体の力を緩めた。そうしていると、カイルの指が俺の浮いている肋をなぞる。

「マジで痩せすぎだろ、ちゃんと食ってんのか」

「食欲湧かなかったんだ」

「あ?食欲なくても無理矢理食うんだよ」

 食わなかったお前が言うなと思いながらも、はいはいと返事を返した。少しカイルの言葉を気にして、自分の腹部に目をやる。
 国王に蹴られたそこは少し痣になっていた。アドレナリンが出ていたからそこまで痛くはなかったが、やはり痛いのは痛い。
 側から見たら軽く蹴られただけのように見える蹴り方でも、痣になっている。どんだけこの世界の人間は馬鹿力なんだろうか。
 カイルの大きい手のひらがそこに触れ、後ろから舌打ちが聞こえた。

「あのクソ野郎…ハジメを殴りやがって」

「この国の王様はびっくりするぐらいグズだな、カイルといい勝負してるぞ?」

「…おい、昔の俺と王様比べてんじゃねぇよ」

昔のカイルの方が国王よりもクズ野郎だったかもしれない、俺がそう言うとカイルはぐうの音も出ないのか、俺の肩口に顔を埋めた。

「もう王宮に行くなよ、てか王様に会うのやめろ」

「…ここまでされて会いに行くわけないだろ」

「神子?とかいう奴がまた何か言ってくんじゃねぇのか、言われても会いに行くなよ」


 カイルの言葉で神子を思い出す。確かに、国王とは違い神子は俺を気に入っている様子だった。
 同じ異世界人で故郷も同じだとそうなるのも仕方ないのかもしれないが、正直俺はあの連中とは関わりたくない。無意識に深い溜息を吐いて、俺は項垂れた。


「…俺はお前に無理して欲しくねぇ」

「カイル…」

「散々お前に、酷ェことした俺が言える台詞じゃねぇけど、これ以上…ハジメが辛い思いするのは嫌なんだよ」

 かつて俺をレイプした男とは思えないような台詞に驚いてしまうが、俺の体を抱き締めている腕の力強さがその気持ちが本心だと伝えていた。
 嬉しいような恥ずかしいような変な気持ちになって、俺は黙ってカイルを見つめるしかできなかった。
 何を思ったか、カイルはいきなりキスをしてきた。


「っ、おい…」

「別にキスぐらいいいだろーが」


 不満を言ってやろうと口を開こうにも、2回、3回と何度も唇で塞がれてしまう。人とのこういう行為は久しぶりで、軽い口づけでも変な気分になってしまう。
 どんどん口づけが深くなって、長く熱いカイルの舌が俺の舌をいやらしく絡め取ってくる。触れ合う唇も舌も気持ちよくて、つい俺も目を閉じてそれに応えた。
 舌先で上顎をなぞられ、びくりと体が震えた。カイルの舌をフェラするように唇で扱き、また舌を絡める。お互いの熱い吐息の音と妖しい水音が浴室に響いた。


「…っ、はぁ…手を出さないんじゃ、なかったのか」

「キスしただけだろ」

「キスしただけって、お前…」


 カイルは俺の言葉を無視して、完全に勃ち上がっている俺のちんぽに触れてきた。その思わぬ刺激に腰が少し浮いてしまう。


「…満更でもねぇくせに嫌がんな」

「うるさい…っ、あ、やめろ、っ…これ、ぁ、手出してる、だろ…っ」

「お前も溜まってんじゃねぇのかよ、抜くぐらいいいだろ」


 無骨なカイルの大きい手が俺の竿を握り、手慣れたように扱いてきた。俺の感じるところを理解しているその指先は、裏筋や鈴口を擽るように刺激してくる。


「ぁ、そこ…だめだっ、て…っ♡」

「っ、くそ…可愛すぎんだよ」

「かわい、くな、っ…あ、ぁ、っ♡」

 苛ついたようにカイルは舌打ちをし、俺の体を抱き上げ、向かい合うように膝に座らせた。
 少し乱暴に扱かれ俺は首を逸らし、声にならない悲鳴をあげた。下を見るとカイルのちんぽも腹につくぐらい勃起していて、無意識に俺はそれに手を伸ばした。
 同じように扱くと、カイルの表情が少し歪んだ。カイルの片方の手が俺の首裏を掴み、激しく口づけられる。


「んっ、ん、ふ…っ♡ん〜〜っ、♡」


 カイルのものを触る余裕も無くなってその体にしがみつくことしか出来なくなってしまう。バシャバシャと水面が揺れる音が激しくなった。
 カイルは俺のちんぽと一緒に自分のものを扱いて、どんどん力強く激しく擦る。久しぶりの快楽とキスで酸欠のような状態になり、頭がクラクラした。


「っ、はぁ…っ、いく、も…っ、いく…♡」

「俺も、やべぇ…っ」


 亀頭をグリグリとトドメを指すように押しつぶされ、頭が一瞬真っ白になった。


「ぁ、いっ、〜〜〜〜っ♡」


 俺は激しく体をビクつかせながら果てた。すぐにカイルも体を震わせ、俺と同じように精液を吐き出す。


「は、ぁ…っ♡は、あつ、い…っ」


 射精したからなのか、のぼせたのかわからないが体に力が入らず、カイルの体に抱きつくようにもたれかかった。
 水面に浮いた白いそれを見て、掃除しなきゃなと思いながら荒い息を整える。
 温かいカイルの手が俺の湿った髪を梳かすように撫でた。それを心地よく感じながら、俺はそっと目を閉じて逞しいその体に少しだけ頬擦りをした。




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