第10話

「ーー麻也!」
「優馬」
「わりぃ、ちょっと待たせたか?」

 申し訳なさそうな顔をする優馬に、麻也は首を横に振って否定した。

「ごめんね、いきなり会いたいとか言って」
「気にすんなって!麻也にそう言われて嬉しかったし」

 優馬の言葉に麻也は少し驚いた。

「嬉しい?」
「なんかさ、いつも俺から麻也に声かけるから…珍しく麻也から誘われたのが嬉しいんだよ」
「…じゃあ、これから僕もいっぱい誘っていい?」

 少し緊張した顔でそう尋ねた麻也に、優馬は優しく微笑んだ。

「おう!…つか、そんな気使わなくていいから」
「…うん、ありがとう優馬」
「…おう」

 麻也はちょっとむずむずするような、そんな気持ちになった。
 ーーあんな落ち込んでたのに、優馬と話したら今は楽しい気持ちでいっぱいになっていた。

「どこいく?ゲーセンとかでいいか?」
「ゲーセン…行ったことない、かも」
「え、まじかよ!?

 こくりと頷く麻也に優馬は信じられないものを見るような目を向けた。

「ぜってー人生損してるぞ、それ」
「……だって行く機会がなかったし」
「じゃあ、ゲーセンで決まりだな!俺がゲーセンの楽しみ方を教えてやる」

 そう悪戯な笑みを浮かべ、優馬は麻也の腕を引いた。






「ーー麻也!前見ろって、ゾンビ来てる!」
「え!?うそ、ちょ、待って…まっ、ああっ!」


 ゾンビのアップになり、血で画面が赤く染まりゲームオーバーの文字が出た。


「また死んじゃった…」
「ははっ、今ので三回目か?」
「僕このゲーム向いてないのかも」

 麻也は持っていた銃を下ろし、落ち込みながら優馬のもとに戻る。
 初めてしたゲームは麻也には少し難しすぎた。


「最初はそんなもん、そんなもん!じゃあ次は俺も参加しよ」
「優馬?」
「ほら、麻也もはやく銃持って!」

 優馬は金を入れて、慣れた手つきで銃を構えた。それを見て慌てて銃をとり、どきどきしながら画面を見つめた。
 ゲームが始まり、ゾンビが現れてくる。


「俺がこいつやるから、麻也はもう一体頼む!」
「わ、わかった!」

 急いで標準をあわせ撃つもなかなかゾンビには当たらない。麻也はどうしようとさらに気持ちが焦った。


「麻也、ゆっくり落ち着いて標準合わせて」
「うん……!」
「そのままギリギリまで引きつけてーー撃て!」

 優馬に言われたタイミングで引き金を引けば、頭にヒットし呻き声をあげゾンビは倒れた。麻也はこのゲームを始めてから初めてゾンビを倒した。


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