第13話
DIVAはガヤガヤと喧騒で溢れていた。
その一番奥の席で、鷹人は酒を飲んでいる。
「ーー鷹人さん」
「なんだ?」
「ちょっと話したいことが…」
含みを持たせるような話し方の男に鷹人は眉をひそめた。たが、鷹人は先を話すように進める。
「実は、昨日増田優馬と会いました」
「……」
「増田優馬は男を連れてたんですが…」
鷹人は黙って男の話を聞く。
鷹人と優馬は犬猿の仲だと言われているが、正直なところ鷹人はどうでもよかった。自分と同じくらいの実力を持っているところは気に入らないが、それ以外はどうでもいい。
「その連れていた男、高野麻也だったんです」
「…麻也?」
麻也の名前が出て、初めて鷹人の表情が変わった。驚いたような顔を男に向ける。
男ははい、と頷き続ける。
「あいつは一応鷹人さんのセフレなんですよね?」
「……」
「優馬のもんになったらヤバイでしょう」
「…そうだな」
麻也は優馬のモノにはならないだろうがな、と鷹人は胸の中で否定する。だが、自分と優馬の仲を知っているのに麻也が優馬と居る理由は気になる。
「この件、俺らで好きにしていいですか?」
「ーーあぁ、好きにしろ」
ニヤリと笑った男を見ずに、鷹人は酒を煽った。
麻也はいつも通り午前の授業を終え、帰路を歩いていた。7月だからか、汗がじわじわ出てくるのがわかる。
「あっついな…」
今日は家に帰って課題でもしようか、なんて考える。優馬からは何も連絡はなく、忙しいのだろうと麻也は思っていた。
暑さに耐えながら歩いていると、スマホが震えた。
見てみると、健吾からの着信だった。
「はい、麻也です」
『麻也!あんた、今どこにいる?!』
「え?まだ大学の近くだけど…」
焦っている健吾の声を不思議に思いながら答える。
『今すぐ逃げろ!!あんたはーー』
”みぃつけた”
いきなり背後から声が聞こえ、振り向く瞬間後頭部に衝撃が走った。
鈍い痛みを感じ、意識が薄れる。目を閉じる瞬間、嫌な笑みを浮かべた男の顔だけが見えた。
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