最終話(2)
「それから優馬と会うようになった。優馬の友達とも仲良くなって…ほんと、みんな優しくて…っ、『僕なんて』って暗いこと言ったら怒るんだ」
変だよね、麻也はそう言った。
「優馬といると、ずっと笑えるんだ…楽しくて、幸せだって思えた…っ」
麻也は鷹人の目を見た。
泣き笑いのような顔を始めて崩し、苦しげに歪められる。
「鷹人といた時は、いつ終わるのかなってそう思ってた…でも、優馬となら幸せになれるって、ずっとずっと…一緒にいたいって思えたんだ…っ!」
「…っ」
声を荒げ、全てを吐き出した。
鷹人は一拍置いてから、口を開く。
「…俺は、お前が好きだ」
鷹人の言葉に麻也は目を見開いた。
麻也を見つめてそう口にした鷹人の顔は、胸が締め付けられるほど切ない色を浮かべていた。
「たか、ひと…」
「なあ…好きなんだよ、お前が…っ」
「ぁ…う、ぐ…っ!」
首を掴まれ勢いよく壁に叩きつけられた。ギリギリ指に力を入れられて、僕は手を離そうと鷹人の手を掴んだ。首を絞められていて力が入るわけもなく、引っ掻く程度になってしまう。
朦朧として歪んだ視界の中に見た鷹人の瞳が狂気の光を灯していた。
「優馬が好きなんて嘘だろ…?俺が好きなんだよなぁ?!もう他の奴なんか抱かねえよ、だから…」
「た…っ、ひ…ぉ」
涙が頬を伝った瞬間、首を解放された。
勢いよく噎せながら下にしゃがみこむと、鷹人も一緒に床に膝をついた。
「俺にしろよ…麻也…」
「…ごめんなさい」
肩口に顔を寄せる鷹人に僕は涙を流しながらごめんなさいを繰り返した。何で、何で今更こんなこと言うんだろう、もっと…前に言ってくれていたら…そう思わずにはいれなかった。
「さようなら…」
膝をついたままの鷹人を置いて、DIVAを出た。
仄暗い瞳が僕を見つめていたのを知らずに、僕は優馬の元に向かった。
「ーー麻也!!」
「優馬!」
走ってきた優馬に勢いよく抱きしめられる。繁華街の真ん中で男2人が抱きしめ合っているのは目立っていたが、麻也も優馬も気にしていなかった。
「…麻也、目腫れてる」
「うん…でも、もう大丈夫だから」
「っ!?首、どうしたんだよ?!まさか、あいつ…っ」
もういいんだよ、怒る優馬に僕は首を横に振った。優馬は顔を苦しげに歪めてからギュッと僕を抱きしめた。
暖かい温もりと、優馬の匂いにホッと息を吐いた。
「麻也、好きだ…ずっと側にいてほしい」
「僕も好きだよ…一緒に居よう」
麻也は笑みを浮かべ、そう言った。
優馬はゆっくり頬を撫でて、優しく口付けた。啄むように唇を吸い、少しだけ唇を離して麻也を見つめる。
麻也もうっとりしながら、それを見つめ返した。
「絶対、幸せにするから…」
ーーずっと、一緒に居よう。
麻也は優馬と共に、輝く未来に向かって歩み始めた。
*前 |
次#