第4話

 麻也は男ーー優馬(ゆうま)におぶられ、溜まり場に向かっていた。最初は遠慮したが、ボロボロの体で歩くのはなかなか辛かったから、仕方なく優馬の提案を受け入れた。

 増田 優馬(ますだ ゆうま)、それがこの男の名前だ。優馬は、麻也や鷹人の高校の隣の学校に通っているそうだ。どうりで見覚えのある制服だ、と麻也は納得した。

「麻也さんが、あの学校出身かー。なんか意外だな」
「僕はみんな見たいにやんちゃじゃないからね」
「ふーん…」
「あ、言っとくけど高校時代はやんちゃしてたとかじゃないからね!」
「なーんだ、つまんねー」

 優馬はけたけた楽しそうに笑った。麻也もつられて、頬を緩めた。
 麻也は人見知りするタイプだったが、明るい優馬には人見知りせずにすぐに打ち解けて話すことができた。

「さっきから思ってたんだけど…別に呼び捨てでいいよ?」
「え、なんで?」

 キョトンとした優馬に、麻也は戸惑った。

「なんでって…だって、僕なんかにさん付けするの嫌でしょ」
「別に嫌じゃないけど」
「………」

 今まで鷹人の友人達には、何でお前なんかに…なんて言われていた麻也は、優馬の言葉に戸惑いを隠せなかった。

「ーー誰にどう言われたのか知らねーけどさ、あんたは俺の年上、”先輩”だから『麻也さん』って呼んだんだ。仕方なくとか、嫌々じゃないよ」
「………」

 じわりと胸が熱くなったような、不思議な感覚がした。

「まあ、あんたは呼び慣れてないみたいだから麻也って呼ぶけどさ!」
「…うん、ありがとう」

 ニカッと笑った優馬に、麻也も笑みを返した。
 優馬は、あ、と声を上げた。

「もーすぐ、着くから。ほら、あそこ!」

 指さしている方向には、小さめの廃工場があった。

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