第7話

 大学の講義中、スマホが震えた。

 麻也はスマホの画面を操作し、トーク画面を開く。

『今度いつ来るんだ?彦星が麻也さん来ねーのかってうるせえ笑』

 優馬からのメールだった。
 麻也は文面のようなことを言ってる彦星を想像し、クスリと笑った。

 ーーあれから、麻也は優馬や健吾達の溜まり場へちょくちょく遊びに行っていた。みんなは嫌がらず、むしろ喜んで迎えてくれた。

 鷹人からの連絡はあの日以降ない。ーーもしかしたら、琉衣って子に本気なのか…とあの時を思い出し、胸がちくちく痛んだ。

 自分はなぜこんな恋をしているのだろう、それを毎日麻也は自分に問いかけていた。まだその答えは出ていない。
 ーーわかっているのは、麻也はまだこの恋を終わらすことができないということ。自分の”特別”を奪われ、あんな姿を見せられてもなお、まだ麻也の心は鷹人に囚われていた。

 大きい釘のような氷が胸に刺さり、少しずつ冷たく凍らせていく。まだ、まだ大丈夫、そう自分に言い聞かせ範囲を広げる氷に、見ないふりをする。

 ーーでも、もし……氷が全てを覆ったらどうなるのだろう。自分は……。
 麻也はぼーっと考えていると、スマホがまた震えた。
 優馬からの返信の催促かと画面をみると、そこには優馬の名前ではなく鷹人の名前が表示されていた。


『今日DIVAに来い』

 たったの一行。
 麻也はゆっくり、画面をタップする。


『わかった。学校終わったら行くね』


 返信し、はあ、とため息をついた。
 麻也はスマホをトートバッグの底に押し込むように入れた。

 ーー優馬に既読の文字を残したまま。


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