バレンタイン(シャオ)
深夜、シャオは明かりを灯して本を読んでいた。
こんな時間帯にまで読むつもりはなかったが、
一回読み始めたら面白くてつい時間を忘れていた。
手元にあった可愛らしい花の栞を本に挟み体を伸ばす。
肩をグリグリと動かせばパキっと音が鳴った。
時計を見るといつの間にか昨日の明日になっていて、
カレンダーを見ると二月十四日と示されていた。
明日に支障が出るから寝ようとベットへ歩を進めるが、
ある違和感に気がついた。
自分でつけた覚えのないカレンダーのハートマーク。
はて、母さんの誕生日だろうか。いや、違う。
じゃあ、父さんの誕生日だろうか。いや、違う。
じゃあ、弟の誕生日だろうか。これも違う。
なんだろうと頭をひねらせていると昨日、村へ買い物へ出かけた時、
女子が異様にはしゃいでいた。
……数十分頭をひねらせた結果出てきた言葉。
Valentine.
これは東の国発祥らしい。
毎年毎年色々な人に貰っているのに忘れていた。
シャオはぼーっと考えたあと、ベットへは向かわず部屋を出ていった。
シャオがやってきたのは静まり返ったキッチン。
明かりをつけて地下にある食料庫へ降りていく。
そこはひんやりつめたくて、息を吐くと白く目で確認できた。
シャオはその奥にある大きな箱を開け必要なものを取っていく。
これは母の趣味のお菓子作りの材料だ。
取るだけ取り上へ上がっていく。
上がると、そこにいなかった人物が笑顔で仁王立ちしていた。
母だ。
勝手に取ったのが悪いのか…そう冷や汗をかくと、
袖をまくり手際よく器具を出していく。ああ、なんだ怒っていないのか。
微笑んで母の隣で自分の作りたい物を作る。
朝、リインは甘い匂いで目覚めた。何事だと思うとバレンタインのことを思い出す。
今年も母が何かを作ってくれたのだろうか。そう思い足早にリビングへ行く。
リビングで見た光景に絶句。
机を埋めるほどの大量のお菓子。
そしてエプロンを着て頬をかく兄と母。
二人の目もとに微かにできた隈。
椅子に座り黙々とパンケーキを頬張る父。
何だかその光景が微笑ましかった。
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星空