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「頭が痛い…」
「なあ、助けてくれよ…」
じりじりと近寄ってくる存在にトワは、隣にいた藤の服の袖を引っ張った。
藤は、ちらりとトワを見た。トワも藤を見ている。目線で何を言いたいのか伝えているのだ。
「に、逃げるのじゃ!!」
「合点!」
トワの叫びで、次の瞬間、じりじりとよって来た生徒が手を一気に伸ばした。
それをするりと抜けると、まるで山猿の如くトワは藤の背中に飛び乗った。
「藤殿!走るのじゃ!あれは、ににに人間だが映画の"ぞんび”のようじゃ!」
「ゾンビの発音が違うけど、でも、今はそれどころじゃないよ…ねぇ!?」
藤は飛び退いた。目の前の生徒がハンマーのような神器を取り出し、襲いかかってきたからだ。
裏庭を横切り、二人(正確には一人)は走っていた。
二人の後ろはたくさんの軍団を率いている。嬉しくない軍団だ。
「はあっ…はあっ…、どこに行けばっ…」
「と、とりあえず俊のもと―生徒会に行けば…
!!
止まるのじゃぁ!」
突然、トワが藤の襟を引っ張った。息苦しそうに「ぐえっ」と呻いた。
だが、トワはお構いなしに、藤の背中から飛び降りた。
「ちょっ、あぶないよっ」
「人じゃ!女子(おなご)じゃ!連れていくのじゃ!」
藤がトワの方を見ると、確かに人が倒れている。だが、人なんてたくさん倒れていた。
「まだ意識があるのじゃ!感染しておらぬ!連、れ、て、く、の、じゃ!」
"感染”。きっと、この少女ゾンビだとか勘違いしている。
―いや、みんなただ頭痛いだけだよ。
藤は吐き出しそうな言葉をぐっと飲み込んで、状況を確認する。
もうすぐ軍団がやってくる。足音が沢山聞こえる。
時間はない。迷っている暇はない。
「走れるの?」
「舐めるな!50m走12秒じゃ!だから、先にセーフゾーン(生徒会室)へと走るのじゃ!」
(心配になってきた…。)
先に走っていったトワの後ろ姿を見て、藤は心中呟いた。
藤は、倒れ込んでいる人物をちらりと見て、一つため息をついて背負った。
そして、先に行ったトワの後を追いかけた。
ちなみにトワにはすぐ追いつくことができた。
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星空