2
―雨って憂鬱だ。
―髪は、跳ねるし、外では寝れない。
生駒夏(いこま なつ)はポケットに手を突っ込みながら廊下を歩いていた。
「あれっ、夏。」
ふと、自分の名前に呼び止められる。
夏はギロリと睨むように声のした方を見る。
瞬間、キツかった目元は和らぎ、「なぁんだ」と言うように縛ってある髪の毛を触る。
そこには、彼の3歳年下である腐れ縁である 源田なつめ の姿があった。
少し垂れた大きな目に、色素の薄い肩までの髪。目つきの悪い彼にはもったいないくらいに綺麗な腐れ縁だった。
「授業終わったばかりだよね?」
「ああ。」
「なんで、そんな直ぐに私服に着替えられるの?」
その言葉に、夏は苦虫を噛み潰したような顔をした。
そう、彼。1日サボりだったのだ。
「授業受けなきゃ。」
「…明日は出る。」
そう言った、彼になつめは優しく微笑む。
夏は、その顔が好きだった。
「それじゃあ、私返さなきゃいけない本があるから。」
なつめは片手に本を持ち上げて言った。
「気をつけろよ。」
そう言った夏に「なにそれ。」くすくすとなつめが笑った。
夏は答えたない。
夏に背を向けて人気のない廊下を歩いていくなつめの姿を見届け、夏は窓の外を見た。
雨は未だ止まず、彼の心にイライラを募らせる―が、その"イライラ”はどこかに消え去り、
窓に映る彼の顔はどこか清々しいものだった。
- 29 -
[*前] | [次#]
ページ:
星空