―雨って憂鬱だ。
―髪は、跳ねるし、外では寝れない。

生駒夏(いこま なつ)はポケットに手を突っ込みながら廊下を歩いていた。

「あれっ、夏。」

ふと、自分の名前に呼び止められる。
夏はギロリと睨むように声のした方を見る。
瞬間、キツかった目元は和らぎ、「なぁんだ」と言うように縛ってある髪の毛を触る。

そこには、彼の3歳年下である腐れ縁である 源田なつめ の姿があった。
少し垂れた大きな目に、色素の薄い肩までの髪。目つきの悪い彼にはもったいないくらいに綺麗な腐れ縁だった。

「授業終わったばかりだよね?」

「ああ。」

「なんで、そんな直ぐに私服に着替えられるの?」

その言葉に、夏は苦虫を噛み潰したような顔をした。
そう、彼。1日サボりだったのだ。

「授業受けなきゃ。」

「…明日は出る。」

そう言った、彼になつめは優しく微笑む。
夏は、その顔が好きだった。

「それじゃあ、私返さなきゃいけない本があるから。」

なつめは片手に本を持ち上げて言った。

「気をつけろよ。」

そう言った夏に「なにそれ。」くすくすとなつめが笑った。
夏は答えたない。

夏に背を向けて人気のない廊下を歩いていくなつめの姿を見届け、夏は窓の外を見た。

雨は未だ止まず、彼の心にイライラを募らせる―が、その"イライラ”はどこかに消え去り、


窓に映る彼の顔はどこか清々しいものだった。



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星空