ざあざあと降る雨は、とても嫌なもので。

天道菊治(てんどう きくじ)は心の中で呟いた。
いつも通り、保健室に居座っているとちらほらと何人かがやって来た。
雨に濡れた床で転んだ人、
昨日の暖かい日差しのから雨になり体調を崩した人、
もとから体が敏感で天気の変わりによく体調を崩す人など、

とにかく、いつもより多く保健室に訪れた。
また、今日当番で本当はここにいなくてはいけない子も病気に掛かって部屋で休んでいた。

多く訪れる来客に、一人ずつ適切な処理と治療、薬(棚に書いてあるものだが)を取り出し渡したりなどしていた。

保健室の先生は、今月病気にかかった人達のリストをまとめるために奥の部屋にいた。
本当は保健室にいないといけない先生だが、菊治を信頼して1人にさせているのだ。
前に一度、菊治は「なぜいないのですか?」と聞いたとき、「貴方を信頼しているからですよ。」と言われた。
その時は照れ笑いしかできなかったが、内心信頼してもらって菊治はとても嬉しかった。

「ごめんなさい、中等部2年の阿部です、僕の友達が―」

ガラリと扉が空いたと思ったら、二人の中等部の生徒がやってきた。
片方は膝から血を流している。

本日何回目か見た、転んだ時にできた怪我だった。

菊治は椅子に座らせるように指示をして、棚から薬品や綿、ピンセットを持ち出した。

空はまだ、どんよりと暗く重たく、人を憂鬱にさせるには充分だった。
未だ、ざあざあとバケツをひっくり返したような雨は降り続けている。
遠くの空で雷が鳴り響く。

本当に憂鬱なものだった。

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星空