「菊治!お願いだ!早く来てくれ!」

「まってよ!天道くん!先に私の友達をお願い!」

保健室で上がるあちらこちらで菊治を呼ぶ声。
保健室は怪我人で溢れかえっていた。

菊治以外に保健室にいた保健委員は一人だけで、その一人は次から次へと入ってくる頭痛を訴えるものなどに、鎮痛剤を打っていた。
勿論、保健委員の二人と、保健の先生も謎の痛みに襲われる前に打っていた。

「菊治くん、ねえ、もうやめて。貴方能力が完全に回復していないのに使いすぎよ。」

「先生、ごめんなさい。僕には目の前に怪我人がいるのにー、能力を使わずにはいられません。」

額から流れ落ちそうになった汗をまくった袖で拭い、菊治は保健の先生の方をちらりとも見ずに言った。

ムッ、と先生が頬を膨らませのを菊治は感じると、先生の方へと視線を向けた。

瞬間、横から押された。

「あだっ。」

「ごめんなさい。でもね!貴方も能力使い過ぎて倒れられるとこっちが困るの!
菊治くん、ここは能力を持たないただの人間に任せてみて。舐めるんじゃないよ、ただの人間を。」

目の前でテキパキと足に怪我をした生徒の傷口を消毒していく先生の姿に菊治は、目をぱちくりとさせた。

「菊治くん、貴方は鎮痛剤と救急箱を持って校舎内を回って治療に当たって。それが、貴方のお仕事よ。」

こちらを見ずに言った先生の言葉に菊治は大きく頷いた。
保健室にあった鎮痛剤と救急箱を手に、菊治は廊下に出る。

保健室の目前にある窓。その窓の奥、向こう側の廊下に菊治にとって見慣れた人物が急ぎ足で寮へと向かう姿が見られた。

「あれ、要くん…?」

目立つ様子だからよくわかった。こちら側からは顔や状態などはっきりわからなかったが目立つ水色の髪でわかった。
菊治は、要の進路方向と同じ場所へと行こうと、廊下を小走りして角を曲がろうとした時。

「わっ。」

誰かとぶつかった。
幸い、尻餅をつくことは逃れたが菊治は体を横へと思いっきり動かしてしまい頭を軽く壁にぶった。

「ごめんね、大丈夫?」

これも、聞きなれた声。菊治は、ハッと相手の顔を見ると顔に切り傷を負った七海佳乃の姿があった。

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