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ざわざわと騒ぐ会場。
その中に菊治、七海、幸の姿はあった。
数十分前。
「こっちおいでよ!!! 保険委員の菊治く んもいるよ〜」
菊治は、七海が手を振って元気良く、だけど間延びした言い方で呼んだ相手を見た。
「幸くん…」
「七海先輩に、天道先輩…」
近づいて、二人の存在を確認するかのように見た。
しんっ…と何故か気まずい雰囲気が漂う。菊治はその雰囲気に耐えきれずに、微笑んで言った。
「早いけど、体育館行かない?」
「そうですね、ここからじゃ遠いし。」
「じゃあ、行こう?」
七海がグイと二人の腕を引っ張る。よろけそうになったが何とか二人は踏ん張った。
七海は楽しそうに話をしていたが、幸はどこか深刻そうなだけど、どこか楽しそうな表情をしていた。菊治は、七海の話を聞きながら幸を心配そうに見ることしかできなかった。
それが、つい数十分前のどこかきまずい雰囲気で始まったパーティだった。
舞台に立って、生徒達にこの事件のことを話す要。
その姿を菊治はじっと見ていた。
―隠してあるけど、怪我している。
菊治は要が舞台に立った時から感づいていた。こういうことに関しては敏感であった。菊治の顔が険しくなる。
話し終わってから、舞台に上がったのは天王寺蓮だった。
「生徒会の奴らが今話した通りこの学園 では今危機に陥っている。そこで俺はこ のUSBの中に政府が今までやってきたこ とをここで見せる。ちゃんと見ておけ よ。」
マイクのスイッチを入れて言った蓮。
そして、持っていたUSBをパソコンに差し込もうとした時。
パァンッ
飛んできた銃弾。何処か後ろの列で女子生徒が叫んだ。
蓮がいきなり飛び出したかと思うと数分後には鎖で縛り上げたボロボロになった一人の生徒を連れてきた。
ギュッと菊治は自分の服の袖を握った。
彼は自分の目の前で誰かが傷ついているのが嫌だった。
その性格故、幼い頃から幾度か「偽善者」のレッテルを貼られてきた。
今にも動き出しそうな菊治の腕を七海が掴む。
どこか、怖い目で菊治を見て言った。
「ダメだよ。」
「…うん。きっと、大切なことだよね。敵、だからだよね…。」
その七海の「ダメだよ。」の言葉を菊治は自身で解釈し、答えた。
そして、再び舞台へ視線を向けた。
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星空