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体育館からの爆風に菊治は思いっきり体を壁に叩きつけられた。
「うっ。」
一瞬ぐらりと視界が揺れた。
砂煙に咳き込み、後頭部を抑えながら立ち上がる。
砂煙が晴れて見えたの瓦礫の山と半分崩壊された体育館。
何が起きたのかわからなくなったが、思考を一生懸命動かす。
そして、立ち上がった。
「要くん…!」
体育館には要がいた。
体育館の半分は崩壊した。
何かが起きたに違いない。
菊治は瓦礫の山を越えて要の元へ急ぐ。
―戦えるわけじゃない。
―誰かを守れる力を持つわけじゃない。
だけど、菊治は急いだ。
邪魔な瓦礫の山に足を取られ転びそうになっても急いだ。
そして、見えたのはボロボロになった要とその要の目前に立つ少年。
何ができるわけでもないのに菊治は飛び出した。
そして、要の前に立ち大して使えない、斬れ味が悪い護身用のナイフを抜いて少年に向けた。その手は震えている。
「なっ…逃げて…よ…。」
「要くんそれ以上喋らないで、出血が酷い。あとで治してあげるから。」
「なぁに、オニーサン?そのオネーサンを助けに来たのぉ〜?」
少年が可愛らしく首を傾げて言った。
「そうだよ。」
そう答えるとニヤァと笑う少年。
「そんな、軟弱そうなのに?全然ナイフも持ててないじゃん!面白いこと言うねぇ♪」
くすくすと笑う少年。菊治の後ろでは要が菊治に向かって罵倒混じりに逃げろと言っている。菊治はそれを聞こえぬふりした。
「オネーサンやる前にオニーサンをやるよぉ、ま、一秒で終わるね♪」
そう言って少年は菊治に手を向けた。
ぎゅっと菊治は思わず目を瞑る。後ろからは「バカ野郎」の声が聞こえた。
菊治の前に、少年と菊治の前に別の人物の影が入り込んだ。
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星空