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「なんでだよなんでだよなんでだよなんでだよ…」

藜は神器を片手に敵軍の中へ突っ込んでいた。その目には迷いがあった。
何度も繰り返されるその言葉。
内側から破裂した死体、外側から圧せられ潰された死体。
藜の白い髪を赤く汚した。


「なんでお前らが来るんだよ…意味わかんねぇ…、なんでだよ…。あん時助けてくれたのは―俺の親がいるのはお前ら側なのにさぁっ…。

なんで俺の大事なとこに来んだよ!」

グシャッといとも簡単に藜の周りにいた人間が破裂した。
ぶんっと神器を振り回し、薙ぎ倒す。
空高く飛び上がり、頭上から貫き神器を手放し懐からタガーナイフを取り出し首を掻っ切る。
そしてまた、神器を手にして薙ぎ払った。

「なんで大事なもん傷つけんだよ!信じてたのによぉ…。」

独り言を呟く藜の目から涙が少し溢れた。
それを一瞬で乱暴に拭い、また薙ぎ払う。

同じく敵の中に突っ込んでいた生徒が「行けー!」と叫ぶ。

それに呼応して数十人の生徒が敵の中に突っ込んだ。
数十人程度の生徒にそれ以上の数の敵。だが、明らかに生徒側の方が圧倒していた。
神の力を持つ優秀な生徒ばかりだったからだ。



「シヴァの力舐めんじゃねえぞおおぉお!!!!」


何人かの生徒が藜の前より出るなと他の生徒に大きく呼びかけた。
藜は、神器を両手で振り回しそして自分の足元に突き刺した。
瞬間、大きな地鳴りと縦揺れ、

そして、突き刺した場所から大きな亀裂が、敵を引き裂くようにほぼ一直線に入った。

実は藜、この大きな力を使うのはこの学園に来て二度目だった。初等部の五年生頃、藜は怒って使ったのだった。その時はこれ程よりごく小さなものだったが、学園に長くいる生徒ならその力で三本の杉の木がまっぷたつになったのを目撃している。

「今だぁぁぁあ!!」

「おおおお!!!」

敵が藜の力に怯んだと同時に突撃を再開する。流石神の力を持つ生徒。何が起きてもあまり不思議に思わなくなってきている。

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星空