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「生駒くん元気ね。」
「ふん。」
通りすがりの女子に声をかけられる。
俺の返し方が気に入らなかったのか立木がこちらをギロリと見てきた。
先程、立木の手当のために保健委員探しに行っていた。
もう相手側も戦えるものは少ないらしいが、傷だらけの立木を一人で行かせると生きて帰ってくるのかわからないからついて行った。
……別に心配とかじゃねぇし、戦力が減ると困るだけだ。
「…お前の能力って便利だよな。」
包帯だらけの立木が言う。
突然なんだ。とか、無言で神器を構えてやりたいが今は仲間内で争ってる暇などない。神の力を持つ生徒たちだが、立木の能力のように戦闘向けじゃない者も多い。
また、戦闘向けだったとしてもそれが使えこなせている奴もいる。
俺はボロボロになったブレザーを脱ぎ捨てて目を逸らして答えた。
「当たり前だろ。―戦の女神アテナが傷負って戦えなくなりました、なんてあったら嫌だろ。だから自己回復能力があんだよ。」
俺の能力の一つは自己回復能力。重傷や体の一部がどこかいったとかだったら使えるわけないが、軽傷、中傷程度ならすぐにその場で治せる。傷が塞がるだけでそこで出た血は元には戻らない。貧血になったりはする。
それに、例えば腹貫かれそのままにされたらその状態で再生が始まる。貫かれた状態で傷が治る―なんともおかしいことだ。(数分程度はその状態で生きられるが体の一部が壊されているのだ、数分後には死んでる。)
戦の女神アテナがどんなに傷を負おうが、最後まで戦い続けるという意思が感じられる。
「貧乏ゆすりやめろよ。」
「あ?」
立木に言われ気づく、貧乏ゆすりをしていた。俺はすぐさまやめ、立ち上がる。
「……どっか行くのか。」
その言葉を無視して、体育館内を出る。
運動場内では未だに戦っている奴がいる。
よく見ると地面が割れている。
何もせずに体育館内に戻ると負傷者が次々と運び込まれていた。中には今すぐ病院に行かなくてはいけないような奴もいる。
他人への治癒能力が施せるやつらの顔には疲労が見える。
俺のように戦闘を司る神のはまだまだいけそうだった。だが、神は戦闘より人に恵みをもたらす神の方が多い。神だって所詮人間が作り上げたものなのだ。それが形となったのだ。
だったら戦闘より、恵みの雨を降らせてくれたりする方が嬉しい。
俺は頭を掻きながら立木のもとへ戻った。
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星空