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「見つかってよかったぜ!!!」

「アホか!!!」

「丸見えだねぇ」

―助っ人として登場したのは戦闘能力としては申し分無い人物だった。
ただ、少し力加減がわからない馬鹿というのを除けば。

蓮は、心愛の体を抱き寄せ壊れた壁の向こうを睨みつけた。





数分前、
蓮と心愛は不気味なほど薄暗い道を歩いていた。
すると、心愛側の壁に亀裂が入った。
それに気がついた蓮は心愛を自分の背に隠し武器を構える。

亀裂は徐々に大きくなり、壁が崩れた。

「おぉぉおい何処だぁぁあ!!」

壁を崩し、また反対側の壁に突進して壁を壊す男。
敵ではなく、一応は学園の制服を身につけていた。
目立つ白髪が視界の端から端へと移動して消えた。

「…何だったのかなぁ?」

心愛が首を傾げた。
見覚えのある人物に蓮は頭を抱えたくなった。そして、なるべく知らない人の振りをしたかった。

―何故あの馬鹿は普通に道を通って来ないのか、何故壁壊して移動しているのか。そもそも何処から入ってきたのか。

「はぁ、めんどくさいものを連れてきやがって…。」

砂煙が立つ、壊れた壁から数十人の人影が揺らめいた。
武装をしたただの人間のようだ。先程壁を壊して移動していた男を追っていたようだ。

「心愛、ちょっと下がっていてくれ。」

「はぁい。」

何歩か下がった心愛を蓮は横目で確認すると武器を構えた。






それが数分前。
見事に敵を一人で片付けた蓮に心愛が拍手をおくる。照れて赤くなる蓮。
そして、壊した壁からひょっこりと顔をのぞかせて「見つけた!」と呑気にいう男。

「なんか進んでも進んでもいなかったから戻ってみたらいてよかった!声かけてくれればよかったのに!」

(声なんてかけたくねぇに決まってるだろ。)

そう心の中で言った蓮を気にせず壁を壊し続けた男―東郷藜は、蓮の隣にいた心愛に目を向けて笑った。

「初めまして!俺、東郷藜って言うんだ、よろしく!」

「心愛って言うの、よろしくね〜」

呑気に自己紹介をし始める二人にまた頭を抱えたくなった。
そして、握手をしようとしているのに気がつき、二人のあいだに入る。
睨みつけるは藜1人。
「ええっ」と言う藜を無視して、蓮は心愛を引っ張って壁の様子を見に行った。

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星空