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「な、なんか強そうな敵が現れたの…。」

「ト、トワちゃんは下がっていて…。」

隣を歩いていたトワに心愛が言う。それに対して蓮もどこか冷や汗を浮かべて心愛の前に立った。その二人を後ろから肩に手を置いたのは菊治で、その目は敵のヤヨイへと向けられていた。
ふと、七海の視線に気がつき微笑むがどこかぎこちないものとなっていた。

漂う戦慄に鳥肌が立ちながらも戦える者たちは各々と武器を構えた。
蓮は皆の前線から、智也はその3歩後ろから、七海と藜は神器を取り出し智也と同じ位置から。近距離を得意とする夏は、皆の武器を見て非戦闘員の前で銃の安全装置を外した。

「待ちくだびれちゃったよ。それに、心配になった。――もう殺られちゃってるんじゃないかって。まあ、そんなことないと思うけれど。」

「矢代は何処だ。」

その言葉を無視して蓮が言い放つ。
それに対してユナが「連れないなぁ」と返すが気にしない。

―ただ警備とは違った雰囲気。
―今迄の敵(警備)は、このパーティの中の戦闘員一人だけでも充分倒せてた。
蓮の感が、いや、全員の思考が一致する。
―きっと1人では倒せない、と。

「れ、れんれん!私も戦う!」

心愛が叫ぶ。それに対して蓮は顔をユナに向けたまま、先程と同じように「下がっていろ」と言った。顔をそらすほどの余裕が無かったのだ。
どちらかが動けば戦闘が開始する。ピリピリとした雰囲気に心愛もたじたじとした。
一瞬、ユナが心愛の方を睨みつけたような気がしたがそれはすぐに蓮達へと向けられた。

「誰も来ないの?…じゃあ、こちらから行かせてもらうよ!」

ふらりとユナが前方に傾いたと思うと、一斉に皆武器を構える手に力を入れた。
傾いた時には、もうそこには何もない。どういうことだ?と呆気にとられたが、蓮がすぐに気がつき振り返り叫んだ。

「おい!もうそこに…」

「ウワァァァア!!!」

ドガリと藜が壁に吹き飛ばされた。そこにはユナの姿。
ユナの姿を目にすると、七海は鎌を振りかざす。だが、それは双剣の片方で受け止められ、もう片方は七海のできた隙を狙ったがそれを瞬時に智也が刀で受け止めた。
ユナは地面を蹴り後ろにさがった時にやってきたのは射撃。それをまたもや双剣でかわした。

「はぁ!」

蓮が背後から攻撃を仕掛ける。だが、それも双剣で受け止められた。そして隙を狙った蓮が脇腹に攻撃を仕掛けようとしたとき受け止めていた武器ごとユナの力で弾き飛ばされた。

「早い…。」

七海が少し不安そうに言う。だけどその顔はどこか楽しそうにも感じられた。
吹き飛ばされた藜が静かに立ち上がり、雷や炎を纏った三叉戟でユナへ攻撃を仕掛けた。予想より早い復活だったのかユナの手の甲を少し掠った程度だった。

その様子に、菊治は二人の肩においた手に無意識に力が入った。そして、ほんの一瞬だけ頬にピリッとした痛みが走った。

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星空