30
「チッ!!あぁぁあくそっ!!行くぞ七海、立木!!!」
夏が苛立ちを表すように唐突に立ち上がる。
菊治の治療を受けていた七海と、智也も立ち上がった。呼ばれなかった藜も一瞬戸惑って立ち上がる。
「援護射撃してくれ。」
銃弾を詰め込んだ心愛に夏が一瞬だけ目をやり、言った。それに心愛が頷く。
夏は神器を取り出して物陰から飛び出して行く。
ダダダダと、連続に夏がいた場所に銃弾が飛んできた。七海が神器で銃弾を防いだ。
銃弾は、まるで複数人が撃っているように全く別の場所から飛び出してきている。
それを多少掠りはしているが避けていく。
「ここかな…!」
七海が廊下の曲がり角に向けて神器を振り下ろす。だが、そこには何もない。瞬間背後から飛んでくる一発の銃弾。
カキンッと金属がぶつかり合う音がした。
心愛が撃ち落としたのだ。
鳴り止まない銃声。
弾の補給を本当にしているのか?と思うほど弾が飛んできている。
藜が神器を素早く振り回し、自分に飛んできた弾を弾いた。
智也が弾の軌道を素早く目で追い、それが何処から飛んできているのか考えた。
夏も避けながら撃ち落とされた弾を拾い上げ、何を思ったのか壁に投げつけた。
カチンッと壁に投げられた弾はそのまま床に落ちずに、勢いを保ったまま飛んでいった。
同時に気がついた智也と夏は同時に叫んだ。
「弾の軌道を読め!」「それは壁跳ね返してるぞ!」
パンッ、と心愛の援護射撃が入りまた七海に飛んできた弾を撃ち落とした。
踊るように避けている七海は、目玉を動かし弾が何処から飛んできているのかを、軌道を辿った。
「そこ!」
七海が顔を向けて藜に言った。足に思いっきりの力を込めて、こちらに素早く飛んでくる七海に、神器を自分の数メートル先にある天井のほんの、小さな隙間目掛けて同時に攻撃を仕掛けた。
ドッ!!
天井が壊れ、砂煙が立つ。
瞬間、砂煙に影が映し出される。天井から一回転して見事に着地をして、無駄のない動きで落ちてきた反動で床を蹴り、2人に攻撃を仕掛けてきた。
「ぐっ」
カキンッと藜が神器で受け止めた。間近に見えたのは綺麗な顔立ち。―女性だ。
ヒュンッと風を切る音、七海が女性に向けて神器を振り下ろす、その直前ナズナが後ろへ下がる。彼女も四天王の1人だから七海の神器のことを把握していたのだろう。
「お見事です。」
心愛の射撃をするりと避けて、ナズナが言った。
砂煙が徐々に晴れていく。
「…四天王の三人目ってどういうことだ。」
夏が晴れていく砂煙の向こうにナイフを構えるナズナに言った。
それにナズナは、ほんの少し、口角を上げるだけの微笑みで言った。
- 57 -
[*前] | [次#]
ページ:
星空