31


「…トワちゃん?どうしたの?」

ナズナの遺体をじっと見つめているトワに心愛が話しかけた。

「……むっ、…何でもないのじゃ。
さ、行くのじゃ……!」

心愛に気がつき、笑いかけ地図を取り出して先頭を歩こうとしたトワ。(危険なので先頭は歩かせてもらえず、先頭の方にいた蓮に首根っこを掴まれ押し戻されたが。)

菊治の隣を歩いていた七海が、気がつく。

「あれ?肩から血がでてるよ?」

「あっ、えっ、本当だ…。…要くん?」

ジワリとだが、傷は浅いが肩部分のシャツを血に染めるには充分だった。敵の攻撃を受けたわけではない。が、加護対象が怪我をしたことを現していた。先程から体中がピリピリしているのは感じたが、きっとそれは軽傷だから術者には何の影響もなかった。だが、肩の傷を受けた加護対象―要は中傷くらいだろう。

後方を歩いていた智也がふっ、と立ち止まる。そして、振り返った。
それに気がついた夏も立ち止まった。
立ち止まった後方たちに、気がつき皆も足を止めて振り返る。

「おおっ、要殿、麗、マリア殿!」

トワがいち早く階段を降りてくる3人に声をかけた。
そして、走り出したのを後方にいた智也が首根っこを掴んで押し戻した。
その数十メートルの中にも敵が襲ってくるかもしれないからだ。

少々小走りでやってきた3人と合流する。要以外の2人が負傷をしていたので、菊治が治療にあたった。

「天王寺、あの燃える死体は貴方がやったの?―外傷が少ないのは七海がやったんだろうけど…。」

何処かトーンの落ちた声で話す要に天王寺が頷き、その通りと言った。

「こっちはユナとナズナを殺った。」

「……こっちはヤヨイよ。」

その会話に何人かが反応した。

「あと1人じゃねぇか。」

夏が張り切った表情で言う。
そこで、治療を終わらせたマリアと麗が輪の中に入る。

「何だっけ―豆?」

「そうそう、豆豆。」

女子たちの会話に男子が首を傾げる。
要がため息をついて言った。

「アズキよ、アズキ。」



「豆じゃないか。」

「ああ、豆だ。」

「美味しい豆じゃの。」

「うん!!豆!!」

「好きだぜ!!」

口々と豆豆言う皆に、要はまた深く溜息をついた。

- 58 -


[*前] | [次#]
ページ:



星空