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「…トワちゃん?どうしたの?」
ナズナの遺体をじっと見つめているトワに心愛が話しかけた。
「……むっ、…何でもないのじゃ。
さ、行くのじゃ……!」
心愛に気がつき、笑いかけ地図を取り出して先頭を歩こうとしたトワ。(危険なので先頭は歩かせてもらえず、先頭の方にいた蓮に首根っこを掴まれ押し戻されたが。)
菊治の隣を歩いていた七海が、気がつく。
「あれ?肩から血がでてるよ?」
「あっ、えっ、本当だ…。…要くん?」
ジワリとだが、傷は浅いが肩部分のシャツを血に染めるには充分だった。敵の攻撃を受けたわけではない。が、加護対象が怪我をしたことを現していた。先程から体中がピリピリしているのは感じたが、きっとそれは軽傷だから術者には何の影響もなかった。だが、肩の傷を受けた加護対象―要は中傷くらいだろう。
後方を歩いていた智也がふっ、と立ち止まる。そして、振り返った。
それに気がついた夏も立ち止まった。
立ち止まった後方たちに、気がつき皆も足を止めて振り返る。
「おおっ、要殿、麗、マリア殿!」
トワがいち早く階段を降りてくる3人に声をかけた。
そして、走り出したのを後方にいた智也が首根っこを掴んで押し戻した。
その数十メートルの中にも敵が襲ってくるかもしれないからだ。
少々小走りでやってきた3人と合流する。要以外の2人が負傷をしていたので、菊治が治療にあたった。
「天王寺、あの燃える死体は貴方がやったの?―外傷が少ないのは七海がやったんだろうけど…。」
何処かトーンの落ちた声で話す要に天王寺が頷き、その通りと言った。
「こっちはユナとナズナを殺った。」
「……こっちはヤヨイよ。」
その会話に何人かが反応した。
「あと1人じゃねぇか。」
夏が張り切った表情で言う。
そこで、治療を終わらせたマリアと麗が輪の中に入る。
「何だっけ―豆?」
「そうそう、豆豆。」
女子たちの会話に男子が首を傾げる。
要がため息をついて言った。
「アズキよ、アズキ。」
「豆じゃないか。」
「ああ、豆だ。」
「美味しい豆じゃの。」
「うん!!豆!!」
「好きだぜ!!」
口々と豆豆言う皆に、要はまた深く溜息をついた。
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星空