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「おい。」
アズキを殺した要に、夏が荒々しく声をかけた。要を睨みつけて、口を開いた。
要が血のついた短刀をしまい、どこかわざとらしく、首を傾げる。
動かなくなったアズキの遺体を、藜がじっと見ていた。
「何故殺した。」
「敵だからですよ。」
「そういうことじゃない。」
より一層、夏が要を睨みつける。
智也が夏の肩を掴んで止めるように言ったが、それを夏は振り払った。
「お前らのなかに―というのはどういうことだ?その言葉の続きを待たずに殺すとはどういうことだ?
――何か知っているんじゃないのか?」
要を睨み、そして次に菊治を睨みつける。
――人を疑う目。
不穏な空気が流れる。
麗の治療を終えた菊治が、まだまともに動けそうにない麗の肩を抱いて立ち上がり夏を見た。
要が口を開こうとした時。
「そんなことより、生徒会長殿と千恵殿を助けに行くのじゃ!」
トワが空気を読まずに発言する。
不穏な空気が少し軽くなった。心愛も頷く。
先頭に立ち、銃撃が聞こえた場所へと足を向けるトワに、この会話が一度止まる。
―夏は話を止めたトワの背中を睨みつけていたが、智也に足を踏まれた―。
トワと蓮、要、心愛を先頭に、
夏、智也、マリアを中間に、
菊治、麗、七海を後ろに進み出す。
間借りの角を曲がると、真っ先に見えたのは警備の死体。死因は銃で撃たれたことによってだった。
それは、先ほどの矢代の息がかかった警備なのか、それとも仕事を全うしようとした警備のものなのかはわからなかった。
ふっ、と蓮が反応する。
「この血、地面を這ったあとじゃないか?」
目敏く、警備の血ではない這いずり回ったような血を見つけた。
それは、頑丈そうな扉の方へと続いていた。
「拷問を受けたのなら、膝を潰されたのかも。」
マリアが言った。
ゴクリ、と生唾を飲み込んで皆顔を合わせる。
この扉の向こうに、矢代はいるのか、いたとしたら、生きているのか、死んでいるのか(失礼だが)。
蓮がゆっくりと扉を開けた。
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星空