「あぐッ!!!!!」

殴られ穏恵は倒れ込む。
鈴夜は、倒れ込んだ穏恵の腹に乗っかり、穏恵の顔をまた殴りつけた。

「ァァァアッッッ!!!!!お前がッてめぇがァ!!!!!」

もう、何を言っているのか聞き取れない程、声を荒らげて穏恵を殴りつける鈴夜。
だが、穏恵も殴られてばかりじゃなかった。

精一杯の力で鈴夜を退けた。

倒れ込んだ鈴夜は、穏恵を睨みつける。
先程とは逆だ。
穏恵が上、鈴夜が下。

壊れたメガネを捨てて穏恵がゆらりと立ち上がった。
額や頬、口から出血している顔で、鈴夜を冷たい目で見下した。

その目に怯み、鈴夜が穏恵を見上げて言った。

「……んだよ…そんな目で見るなよ……。」

若干の震えの混じった声で鈴夜が言う。
綺麗なその髪は、今は酷く乱れていた。

「見んなよ……。」

「ねぇ……、」

穏恵がポツリの話し掛ける。
だが、鈴夜は底知れない恐怖に掻き立てられ、聞いていなかった。

「そんな目で……」

「いつもと逆ね……。」

「私を!!!!!俺を見るなよぉぉおおお!!!!!」


「黙れ!!!!!!!!!!」

穏恵の大声に、鈴夜の肩が震えた。
ゆっくりと歩いて鈴夜に近づく。
穏恵の目は、先程の怯えていたなどと感じさせられなかった。暗いその目で、鈴夜の姿を写した。

「いつもいつもいつもいつも……あなたにブスブスと言われてきたわ……。でもね……、ねえ、分かる?
分かるかしら?
鏡で見る?そこの水辺にその顔移してご覧なさいよ。

今はとぉぉおおおっても、



あなたの方がブスだわ。」



「黙れよ……黙れ…黙れよ…お前みたいな……ブスな……汚い……やつに……。」


鈴夜が俯き、震える手で自分の顔を触る。
自分の顔を確かめるように。

穏恵は追い詰めるように鈴夜に近づく。
鈴夜はズリズリと下がる。


瞬間、鈴夜は浮遊感を覚えた。
自然にできた浅い穴に落ちた。
カチッ、と何か外されるような音がしたらこちらに何かが投げられた。

鈴夜が目を見開く。

そして、叫んだ。

「ァァァァァァアッッ!?!?」

大きく開けられた口に飛び込むそれは、

手榴弾。


最後に見たのは楽しそうに後ろへ下がる穏恵だった。










爆発音が響く。


同時に穏恵の笑い声。

だが、その笑い声はすぐに止まった。


「ウッ…はあっ……?」


口を抑える穏恵。その指の隙間からは血が流れ出た。
大きく、大きく目を見開いた。

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星空