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「やあ、七瀬くん。」
ベレッタの銃口を琴子の頭に向けた澄嶺は相も変わらずニタリ顔で琴子の顔を見た。
チャキッと琴子の手が少し動く。
そして、澄嶺の腹を掻っ切ろうとした。
少し遅れて気がついた澄嶺は、腹を掠った程度ですんだ。
それでもニタリ顔なのだが、いつもは見られない目色が見られた。
赤く、狂気染みた美しい瞳の色。
人によっては美術品に、評価をつけられるように感想を述べられたり嫌な目で見られるその目の色が澄嶺は大嫌いだった。
「へえ、初めて澄嶺くんが目開けているところ見たよ。いつもどうやって見ているの?」
「ふふ、それは秘密だよ。」
淡々と放つ言葉だが、二人の行動は会話とは合わなかった。
琴子がチェーンソーと斧を振り回している。
それを澄嶺が避けるといった感じだ。
近距離だが、ベレッタを正確に構え澄嶺が琴子の急所を狙い撃つ。
だが、やはり近距離であり、動いていることもありどれも外れたり掠ったりする程度だった。
後ろへ後ろへ逃げるのではなく、横へ、または前へ澄嶺は避ける。
背後を取ろうと、澄嶺が琴子の脇を素早く通り抜けようとした。
琴子はそれにいち早く気づき、足を出す。
それに転けて寄ろけるが澄嶺は琴子の背後をとった。
「じゃあね。」
「それはこっちの台詞だよ。」
澄嶺がベレッタの引き金をひこうとした時。琴子が振り向き、チェーンソーと斧でたて続けに澄嶺の腹へ攻撃を食らわした。
「あっぐ………ッッ!」
血が、溢れる。
膝をつく澄嶺の目の前に立つ琴子。
澄嶺は、腹を抑えて琴子を見上げる。
そして、笑った。
口からも血が伝う。
「うん、良かった。」
「なにが?」
琴子が首を傾げる。
澄嶺は自身のベレッタ銃を震える手で琴子の足元に置いた。
「残りの弾は、7。
君になら、任せられそう。この"ゲーム”生き残ってよ。」
腹を抑える澄嶺の手からはまだまだ出る、というように血が溢れ出る。
それは、琴子の靴も濡らした。
「うん、生き残るよ。そのつもりだったし。」
琴子が斧を振り上げた。
澄嶺は、憎たらしいようなニタリ顔ではなく、ただ、微笑んでその様子を見た。
「おやすみ。」
琴子の斧が振り下げられた。
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星空