15


揺れた茂みから現れたのは三鶴だった。
武器を突きつけられ、鞍馬の額から冷や汗が流れる。
何とか祈里の前に立ち、三鶴に背中を向ける。

三鶴の瞳がどこか暗い。

鞍馬は、三鶴の言葉に何かを返すことができずに祈里をチラリと見た。祈里は、どこか、動揺している。
祈里の背中を押し、鞍馬は三鶴に背を向けて走り出した。

「―――。」

よく聞き取りをすることができなかったが、三鶴が何かをいう。
瞬間、発砲音。
銃弾は鞍馬の腕と祈里の腰を掠る。祈里の盾になるように、鞍馬は祈里の背中を押した。


「行き止まりだっ」


祈里が、目前に迫った小高い崖となった場所で立ち止まる。
鞍馬は崖下を覗き込んだ。
ザッ、と高さはそこそこ。下は草が生えている土だ。しかも、雨が降っている。草と土は柔らかくなっているだろう。

「人が死ぬ高さじゃない。痛いかもしれない。ごめん。」

早口気味に鞍馬が祈里に言う。
祈里は、鞍馬の顔を見て「は?」と声を漏らした。
そして、唐突に祈里を突き落とした。
唐突なことで、祈里は悲鳴を上げることなどできずに目を見開き落ちていった。

祈里が崖下に落ちたことを確認するとコルトガバメントを頭部に突きつけられた。


「………三鶴。」

「すまないが、死んでもらう。お前のことだから、皆で生きるくだらない手立てを考えていたのだろう。だが、――」

「くだらなくない。くだらなくなど、ない。こんなのは間違っている。」

「間違っている?何が間違っているんだ。ルールなんだ。規則なんだ。それに従い、模範的に行動するのが一番いいに決まっている。
お前の行動は全くもってこの規則に従った良いものではない。」

「人を殺すのが良いことなのか?人を殺すのが模範的?
今まで同じ教室で過ごしてきた仲間を殺すのが良いことなのか?
さっきの放送を聞いたか?もう既に長谷川でも雨宮でも何人か人が死んでいる。
悲しくないのか?」

普段は寡黙で滅多に喋らない鞍馬が長く喋る。目は、どこか怒りを含んでいた。

「悲しくなど、ない。」

「何故?お前はそこまで――。」

「――った。」

三鶴がボソリと言う。
雨音が強くあまり聞き取ることができなかった。
それに気がついたのか三鶴がもう一度繰り返す。

「北条を――。」

そこまでの言葉で鞍馬は気がついたのか、酷く目を見開く。

- 21 -


[*前] | [次#]
ページ:



星空