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廊下を慌ただしく走る男の姿を見た者は皆、何事だと男の姿を見るがそれが東郷藜でその腕の中には壊れた花瓶があると知るといつも通りということで、溜息をつくのだった。
生徒会室と書かれた扉を思いっきり開けると、扉は勢い良く外れた。
生徒会室にいた者が全員こちらに注目した。
溜息をつく者、呆れ顔を見せる者、苦笑いをする者(その者は藜には天使に見えた)、それぞれの表情を見せる。
藜は片腕に花瓶を抱えて器用に扉を直した。
そして、彼の幼馴染の姿を見つけると、血相変えて大きな声で言った。
「大変だ!」
「…うん、大変だね。見ればわかる。」
彼の幼馴染、矢代は溜息をついた。
「今週でなんだ!?100…?」
「…今週は銅像も壊したから120万。…中二の時の真夏日にプール破壊よりかは安いけど」
矢代はそこまで言い、手元の書類を見て何かを思い出したように藜を見た。
「今はそれどころじゃないから、その花瓶がそれ以上壊れないようにここに置いて出ていって。」
「ええっ?なんか、大事なことか?俺が手伝ってやろうか?」
「…いや、これ以上何か壊されたら困るから。部屋で謹慎処分で。」
「そんな!俺、じっとしてらんないよ!」
藜が大きな声で言った。
そして、お菓子を駄々こねた子供が買ってもらえないかのように俯いた。
ぽつりぽつりと小さな、だけどしっかりとした声で言った。
「…またシャワー室破壊しちまうかも。」
「わかった。だから、(生徒会室の)部屋の隅にいて。」
その言葉で、ズーンと暗い空気をまとわせてふらふらと生徒会室の部屋の隅に行くと体操座りをした。
今にもキノコが生えそうな勢いのジメジメさだ。
「…それで、この場所は―。」
矢代がその姿を見届けると生徒会室の扉が軽く叩かれた。
―新たな来訪者だ。
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星空