あまり人で賑わっていない広い食堂。
広い食堂にしては人は片手で数えるほどにしかいなかった。
それもそうだ。もう、お昼は過ぎているからだ。

その食堂の窓際の一角、肘を付き手で頭を支え入り込む陽射しにうとうととしている男がいた。

高等部3年生、生駒夏(いこま なつ)だ。

夏の目前には食べかけのオムライスがあった。スプーンを持っている手はやや危なかしい。


実は彼、昨日はほとんど寝ていなかったと言う(一日合計平均10時間寝る彼にとってほとんど寝ていないは一般人にとっては充分な睡眠だろう。)



ほとんど誰もいない食堂に響くは一人、二人の喋り声と食堂で食器が現れる音だけだった。
それが心地よく感じたのか、そのとも窓から差し込む暖かい陽射しが心地よかったのか、将又(はたまた)、その両方か。

ただ、彼は何も考えられないくらい眠たかった。

ガシャリ。

彼の手から机の上にスプーンが落ちた。
一瞬だけ、喋り声は止まった。食器の汚れを洗い流す音だけはずっと聞こえる。
また喋り声が再開される。やけに楽しそうな声を聞きながら、
生駒夏は頭を肘をつけた手で支えながら眠りの世界に旅立った。

その後直ぐに聞こえたのは食堂まで響いた生徒会室で何かが壊れる音だった。

眠りの世界へ既に旅立っていた彼にはその音の正体など、いや、その音が響いたなど気がつかなかった。

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星空