無自覚の危険

深夜2時13分。


布団の隙間からするりと甘い香りと共に誰かが
自分の布団の中に入ってきたので、及川はすぐ
に気がついて眠気さ混ざりで目をうっすらと
開けた。


「美月の奴、もー。やっぱり
寝ぼけてこっちに来たか。」



迷惑なヤツめと言いながらも、本当は嫌では
無く、寧ろ及川にとってはかなり嬉しい美月の
添い寝なのだが、目の前に餌をぶら下げられて
いるのに噛み付けない辛さの方が勝ってしまい、
ここは彼にとって複雑な所だった。


他の獣達のところへ行かなくて良かったという
安心感に、好きな人が目の前で気持ちよさそう
にすぅーっと寝息を立てている彼女が傍にいる高揚感、そこにはどれも及川の睡魔をかき消す
ものしか無かった。


にも関わらず、彼女は容赦なく彼に巻き付き、
トイレにでも行って帰ってきたのか、露出して
いた太腿がひんやりと彼の足に当たり、そこが
じわじわと熱くなる。


眠りながらも及川の温もりが心地が良かった
のか、ピトッと及川の胸板へと顔を寄せて、美月の口元は緩んだ顔で、彼の腕に自分の
手を添えていた。


「…っ!ちょっと何、可愛いことしてくれ
ちゃってんの。」


彼女の胸元も彼の腹部に離れること無く、
しっかりと引っ付いてしまっているので、
出るとこは出ている彼女の体型が幸か不幸か、
及川へと生々しい感触が伝わり、及川はこの
蛇の生殺しの様な状態を喜びで悶絶しながら、
ひたすら耐えるしかなかった。


「…食べちゃうぞー。」


覗き込んで無防備に眠っている美月を
見つめ
ながらふざけたりしてみても、完全に熟睡中の
彼女はどうやら起きないようだ。


さすがにずっと同じままの体勢というのも辛く、
体が少し痺れてきたので、このままじっとして
いる訳にはいかず、及川もを少し動かしながら
腕をずらす。


すると、不意にあたってしまっていたむにっと
した柔らかい感触に何となくいつもと違う違和感
を感じて、彼の背中には冷や汗が流れた。


「ちょっと待って、まさかの美月さん…」


彼女のTシャツの襟元を失礼しますと及川は
指で引っ張り、罪悪感混じりで中を除き込む
と、胸元のカップが浮いていたので、
彼の嫌な予感は正しく的中。


ブラのホック、外れてんじゃん…


はみ出した柔らかい部分がシャツ越しに
及川の腹部に当たっていた事実に気が付けば、
尚更その感触に意識が行くので、それを
逸らそうと必死に違うことを考えても意識は
結局そこに戻る。


名前を呼ばれればぴくっと反射で肩を揺らし、
美月もむずっと体をずらして何の寝言か
『徹…ダメ…』と彼女が耳元へと囁けば、
彼の首元に手を回し始めた。
そして彼にとどめを刺すように彼女の両太腿
が彼の手を包むようにむぎゅっと挟む。


ごめん、さすがにもう無理!!!


こんな所で彼女をいただく訳には行かず、
血相を変えてガバッと彼女を抱えて急いで
隣へ移し寝かせた。


ゴロンと布団へ寝転がされた彼女は、
勢いよく転がしてしまったものの、
その強さでも起きることは無かったので、
それに及川はホッとしつつ、はだけた
彼女の衣服を整えて布団をかける。


起きる所か再びむにゃむにゃと言葉を発し、
二言目には『ハジメのお菓子を取らないの』
と夢の中でも及川には説教をしていて、
焦るだけ焦らされたのにこんな所でも
岩泉の擁護なのかと思わず彼は何でかな
と深いため息。


少し嫉妬心が芽生えた及川は次にやられたら
絶対に襲ってやるぞとイタズラ心を秘めながら
彼女の鼻をぎゅっとつまんだ。


「まっ、ちゃんと自分の想いをちゃんと
伝えてからだけどね。」


覚悟しとけよーとおでこをツンと指で跳ねて、
自分の布団の中に入り目を閉じる。


「うーん、ヤバい。邪念が凄い。」


今はもう1人で布団にいるにも関わらず、
さっきの気持ちいい感触は残っており、
中身は見えなかったものの下着はバッチリ
と見てしまい、しかもそれを鮮明に覚えて
いるものだから、頭から掻き消すことが
どうも出来ない。
…とゆうよりも絶対に忘れたくない。



このお楽しみは後日に取っておこうとトイレ
に向かって心を清めたら再び布団に入り、
そのまま彼は眠りについた。








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