シャッターチャンスは逃さない

最高到達点も測り終え、美月は一通りの
任務を終了して安堵の息をつけば、それも
束の間、及川が申し訳無さそうに手招きを
して彼女を呼んだ。


「美月、ごめーん!
学校のサイトで部活紹介を載せるらしくて
写真撮らないといけないの忘れてた。」


『うんうん。任せて、大丈夫!』



及川が本日働き詰めの彼女の体調を心配して
少し休憩とる?と聞けば、彼女はこれくらい
平気だと首を横に振る。


そして部室からデジカメを持って来たら、
色んな場所で一人一人の練習風景をシャッター
チャンスを逃すことなく美月は満足そうに
写真に収めていた。



「美月、写真うめーな!」


「躍動感ある感じが良いっすね!」


間に挟んだ休憩時間に写真のデータを確認した
松川と金田一に褒められて、美月は照れ臭そう
にそれほどでもと頭を押さえた。

及川と岩泉もその複数の写真を一通り見て、
「いーじゃん!」「かっけぇな!」と彼女を
絶賛する。


『それは私から見たみんなの姿。
私の写真がカッコイイんじゃなくて、
それだけみんなのバレーしてる所が
カッコイイんだよ。』


私はみんなの一番好きな所を撮るだけだからと
さらっと嬉しい一言をドリンクを補充の合間に
説明をすれば、微笑む彼女に一瞬、周りには
沈黙が。


「美月、もう何なの。」


及川は両手で自分の顔を覆い、岩泉は袖で汗を
拭うふりをして誤魔化す。
周りも今日暑いなーと扇いでみたり、それぞれ
嬉しさで口元が緩みそうになるのを必死に
堪えた。


「…なんか1枚足りないわ。」


そんな中、松川が先程のデータを思い出し、
物足りなさが何なのか気がつけば、及川に
カメラ貸してと手を差し出し、及川からカメラ
を受け取るとうんやっぱりとそれを見て頷く。


『ごめん、漏れがあったかな。』


「これは俺が撮るからいーわ。
美月はドリンクちょーだい。」


松川はちょいちょいと手を振って美月に催促し、
彼女は松川に言われるがまま、手に持つ
ドリンクを彼に手渡した。


及川と岩泉は何かを察したのか、「あ。」と
言葉を漏らして納得をする。
そして彼女が『はい。』と言ったその瞬間
を狙ったかのように松川はカシャッと1枚
シャッターを切った。


どーよ?と花巻にその写真の確認を取れば
「これ、最高。」と彼がすぐに賞賛するので、
その言葉が気になって、及川と国見も松川が
撮った写真を確認しようと覗き込む。


「うん、美月可愛い。」


「いい写真ですね。」


2人の感想に美月も気になってしまい、
岩泉と一緒に見せてもらったら、隣にいた
岩泉も「俺の好きなやつ。」とポツリと普段は
言わないらしくない一言を零す。


そしてその後続くように後輩達も覗き込んで、
「これは絶対大切!」と声を揃えて彼女に向かって、高評価の感想を言っていった。


「そうでした!」


その写真に写っていたものは、普段の彼女が
ドリンクを一人一人に差し出す時の優しい
表情。


彼女が見上げた感じは、高さのある松川だから
こそ撮ることの出来た写真だった。


「美月いないと始まんねーもんな。」


「そうそう、大事な仲間ですし!」


松川に「俺達は美月のこれで頑張れるわけ。」
と言われ頭を撫でるので、彼女は『松川、
ずるい。』と言いながらポッと頬が赤く染まり、
それを彼女は見られたくないのか、自分の手で
顔を覆い隠した。


『嬉しすぎてどんな顔すればいいのか分からない。』


「てか、この写真の姿は他のやつに
見せたくはない。」


「それな。」


「じゃあ、撮った意味ねーじゃん。」






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