予定を組みましょう

テストが終わり、一通りの教科の結果も返って
きて、今回はなかなかの好成績を叩くことが
出来た美月は伸び伸びと 羽を伸ばすように、
両手を広げた。


「いや、マジ今回も美月様だったわ。」


『花巻、それはもしかして!』


昼休憩にレギュラー皆で話し合って、今後の
自主練習時のスケジュールを組もうと、お弁当
を持って空き教室を借りて集まると、花巻は
彼女へお供えするように、売店の夏季限定の
アイスを差し出し、美月は嬉しそうにそれ
を受け取った。


『これ、すっごく美味しー。』


「マジで?美月にあげておいて
何なんだけど、俺にも1口ちょーだい。」


花巻が口を開ければ彼女が1口差し出して、
2人でにこにこと美味しそうに微笑みあって
いると、気に入らない様子の他の仲間達は
じっとりと花巻に冷たい目線を送る。


「いや、2人ともイチャイチャしてないで
そろそろミーティングしようよ。」


「美月がアイスを食べ終わってからで
いいんじゃない?
岩泉もまだ食ってるわけだし。」


楽しそうな2人を及川はつまらなそうに見ながら
頬杖を着いて提案すると、松川は食べ終えて
のんびりとしており、岩泉の弁当のおかずを
チラ見する。


「まっつんも美月には甘々だよねー。」


「僻むなクソ川。いちいちうるせーよ。」


「めちゃんこ真面目モードの俺に対して
あんまりだよ、岩ちゃん!」


「岩泉、それうまそーなの何?」


「美月の作った生姜焼き弁当。」


「えっ、岩泉さん。牧野さんの手作り
弁当毎日食ってるんスか!?」


「しかも2個目なんですね。」


「そーなんだよ、金田一!岩ちゃんだけ
ズルいよね。…もう無視されたコトには
ツッコまないからね。」


及川が隣でおかずを横取りしようとすれば、
同じ過ちは侵してなるものかと岩泉は彼の手
を止める。


「俺は金田一を使いに出して、パン食ってる
お前もどうかと思うぞ。」


『えっ、そうなの?徹、最低。
金田一、徹が迷惑かけたみたいでごめんね。
お詫びにならないかもだけど、金田一も
よかったら1口アイス食べる?』


可愛い後輩にそんなことしたのかと美月が
及川へ軽蔑する目線を送ると、及川は
「すみません。」と一瞬固まり謝っていた。


「金田一、お詫びになんか奢るから。」


「え!?あっ、俺は大丈夫っす。
美月さんもアイス食べてください。」


「じゃあ、俺がいただきます。」


彼女が金田一の前に近づいて、彼の目の前に
アイスをあーんと差し出せば、遠慮する金田一
の横で国見がそれを口にして、本当は少し
欲しかった金田一は何も言えずに国見をただ
黙って見ていた。


「もれなく、花巻と関節キスだな。」


「ごふっ、けほっ、ごほっ。」


「うわ、松川。それ言うなよ。」


松川のとんでもない一言に国見が噎せると、
花巻はげんなりした顔で松川を見てそう言い、
美月は国見を心配して背中をさする。


「ホントだよ、まっつんはさっきから
余計なことを言わないで!」


「よし、やるか。ミーティング。」


『アイスも無くなったしね。』


岩泉は我関せずと言った具合に弁当を完食した
ところで本題に切り替えようとして、美月も
ノートを取りだし、皆も話し合いモードへと
切り替わるので、及川は「何なの、みんな!」
と怒り出す。


ちゃんとした本題の話し合いが始まると、
それぞれの気になる点を美月が書き出して
いき、ある程度の話が纏まった所で、
1、2年生は教室から出ていった。


「で、こっからが本題なんだけど。」


『えっ、もうある程度決まったじゃん。』


「もう一個大事なこと決めなきゃ。」


5人が残って再び纏まれば、及川は手を組んで
真剣にみんなを見る。


「夏にやりたい事さ、決めとこう。」


「『・・・・・。』」


岩泉と美月が黙って立ち上がり、教室から
出ていこうとすると及川が待って待って!と
2人の手を掴んでそれを止める。


『受験生の私達のやるべき事は』


「部活、勉強、以上だ。」


「待って待って、青春の最後だよ!?
息抜きも少しは考えようよ!!!
美月なんかそれ以上勉強しちゃったら
頭パンクして逆にお馬鹿になるよ!!?」


松川と花巻は教室からは出て行こうとは
しなかったが、またコイツはしょーもない
ことを言い出したと考えながら、呆れたよう
に及川の方を松川は頬杖ついて、花巻は腕を
組んで見ていた。


「まぁ、確かに。今しか出来ねーことも
あるよな?」


「でしょでしょ?さすが、マッキー。」


『じゃあ、7月の花火大会は皆で行くって
事にすればいいんじゃん。』


彼女の提案を聞いた瞬間、4人は2人きりの
デートはなくなったなと、心の中で少し落ち
込みながら、岩泉彼女の横で頷く動きが
止まり、及川はまだ足りない!と言い出した。


「美月、お願い、もう一声。
あと1個だけ楽しみが欲しい。」


「じゃあ、プールか海かどっちか行くって
決めるのはどうよ?」


「いーねー、まっつん。夏っぽいよー。」


「俺はもうどっちでもいい。」


「じゃあ、あみだくじでも作るか。」


『まさかの二択で!!?』


花巻が美月のノートに線を2本縦に書いて、
適当に横戦を引いていると、彼女はあみだくじ
の意味!と言いながら、お腹を抱えて笑い出す。


「ほら、美月どっちだ!?」


『えー、じゃあこっち?』


複雑な線を見失いそうになりながら線を追う
と、海という文字が書かれた方へと辿り着き、
予定は花火大会と海の2つに決定された。


「美月、花火大会は浴衣着てきてね。」


『えっ、屋台で色々食べれない。』


「食うのなら手伝うわ。そうだな、
久々に見てーな、お前の浴衣姿。」


『ハジメまで珍しい。』


「夏っぽいことしなきゃだもんな。」


「高校生活の思い出ってことで。」


しょうがないなと彼女が了承すれば、4人は
心の中でガッツポーズを決め、そのかわり…
と美月が言葉を続け、彼らは首を傾げた。


『皆も浴衣で来てね?、お揃いがいい。』


照れ臭そうに口元に手を当てて、おねだりを
する姿にもちろん皆がイエスと答えて、彼女が
微笑む。


『しっかり思い出、作ろうね。』


と追い討ちをかける陽だまりのような笑顔に
4人はたまらなくなって、それぞれ誤魔化す
ように顔を逸らしていた。






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